北米

2026.05.23 11:00

マスクやザッカーバーグなど大富豪らがトランプのAI大統領令を阻止、その理由とは

Alex Wong/Getty Images

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ドナルド・トランプ大統領は、複数のテック企業幹部からの圧力により、米国時間5月21日に予定されていた新しいAI大統領令への署名を直前で見送ったと報じられている。この業界幹部には、大富豪のイーロン・マスクやマーク・ザッカーバーグ、そしてホワイトハウスの元AI・暗号資産担当責任者であるデビッド・サックスらが含まれる。

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ワシントン・ポストは匿名の政府高官の話として、サックスがトランプに対し、大統領令によって確立される新たなプロトコルは、新しいAI製品の投入を遅らせ、中国に優位性を与え、さらに業界への規制強化を望む将来の政権によって悪用される恐れがあると伝えたと報じた

同紙によると、マスクとザッカーバーグもトランプに直接この大統領令が米国経済に悪影響を及ぼす恐れがあるとの懸念を示したという。

ホワイトハウスは、複数のテック企業幹部が招待されていた大統領令の署名式を、開始予定時刻の数時間前に突如中止した。

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トランプは記者団に対し、草案が「気に入らなかった」ため大統領令への署名を見送ったと語り、「われわれは中国をリードしているし、他国すべてをリードしている。そのリードの邪魔になるようなことは何もしたくない」と付け加えた。

ワシントン・ポストの報道によると、この大統領令は新しいAIモデルに対する政府の審査やライセンス取得の義務付けまでには至らなかったものの、AI企業が新技術について政府に90日前に事前通知する非公式のプロトコルを確立する予定だったという。これにより、ハッキングや外国からの介入を含む脆弱性の有無の確認が可能になるはずだった。

ワシントン・ポストによると、業界のリーダーたちは、新しい報告要件が厳密には自発的なものであるとしても、結果的に企業へ遵守を強いる圧力になりかねないと懸念していたとされる。

ニューヨーク・タイムズは匿名の情報筋の話として、大統領令の署名式に招待されていたOpenAI、グーグル、アンソロピック、メタ、マイクロソフトの幹部の数名が出席できなかったことをトランプは残念がっていたと報じた

セマフォーの報道によると、サム・アルトマンが率いるOpenAIはこの大統領令を支持していたという。また、OpenAIは州レベルでのAI規制も推進しており、ホワイトハウスもこの戦略を支持している。

ニューヨーク・タイムズによると、この大統領令が発令されていれば、国家サイバー長官室やその他の機関に対し、2カ月以内に審査プロセスを確立することを義務付ける予定だった。また、AIをめぐる政府のサイバーセキュリティ対策を強化し、銀行や公益事業、その他の重要なインフラをサーバー攻撃から保護することも目指していた。

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翻訳=江津拓哉

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