カイ・ロバーツ・フーが「8時間連続で眠ろう」とするのをやめたところ、夜の状態は劇的に改善した。
講演家で作家でもあるロバーツ・フーは長年、自然に3〜4時間で目が覚め、1時間ほど横になったまま過ごし、その後また眠りに落ちるというパターンを繰り返していた。自分は寝つきが悪いと思い込み、心配した。そして予想どおり、その心配が睡眠をさらに難しくした。
だが、調べてみると事情は違っていた。産業革命以前、人々は2つの明確なフェーズに分けて眠るのが一般的だったという。BBCは歴史的証拠を詳しく取り上げている。夜中に覚醒の時間を挟む「二相性睡眠」は、何世紀にもわたり標準的な習慣だった。現代の生活リズムと人工照明が、それを1つの連続した睡眠ブロックへと統合したにすぎない。ロバーツ・フーが「自分にはうまく実践できない」と感じていたやり方は、まだ200年にも満たない新しいものだったのだ。
自分の生物学的リズムに抗うのをやめると、彼女は夜中の覚醒時間を使って日記を書いたり、執筆上の問題を解いたり、編集をしたりするようになった。目覚めもすっきりした。「私は睡眠に失敗していたのではない」と彼女は語った。「自分のやり方でやっていただけで、それはつい最近まで人類の大半がそうしていた方法でもあったのだ」
小さな話だ。だが、そこからもっと大きな物語が見えてくる。
「ゴールドスタンダード」が万人にとっての黄金とは限らない
ロバーツ・フーの本は睡眠についての本ではない。多くの人に効き、さらには唯一の決定版の解決策として持ち上げられているものが、異なる経験、異なる身体、異なるニーズを持つ誰かにとっては不適合であるときに何が起きるのかを扱っている。
彼女が取り上げる事例はアルコール依存症の克服支援プログラム「AA(アルコホーリクス・アノニマス)」の12ステップモデルだ。複雑な幼少期のトラウマを抱えたサバイバーとして、ロバーツ・フーは20代前半、プログラムが約束する平穏を切実に求めて12ステップに入った。12年間在籍した。しかし、その12年間で彼女が平穏に近づくことはなく、むしろ遠ざかった。
その理由は、彼女が本の中で論じているように、構造的な衝突にある。トラウマからの回復と、12ステップによる回復は、その前提が正反対なのだ。トラウマ回復は、主体性(エージェンシー)を回復させることを中心に据える。サバイバーが「自分は悪くなかった」と理解し、症状は正気を失った証拠ではなく、自分の判断を信じて自分の面倒を見られるよう支援する。



