北米

2026.05.22 07:30

投資家が知るべきヒューマノイドロボット市場の勝者──GPUのエヌビディアとCPUのArm

Photo by Li Hongbo/VCG via Getty Images

オンボードが唯一機能するアーキテクチャである理由

制約は商業的なものではなく、物理的なものだ。

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クラウドデータセンターへのワイヤレスレイテンシーは、楽観的な条件でも20〜200ミリ秒かかる。二足歩行でバランスを取るヒューマノイドロボットは、外乱が転倒につながるまでにおよそ10ミリ秒しかない。クラウド推論は商品レコメンデーションやチャットボットには対応できる。しかし、よろめいたときに自ら立て直さなければならない閉ループの物理制御システムには役立たない。

帯域幅の問題はさらに深刻だ。実運用のフレームレートで稼働する一対のステレオカメラは、毎秒ギガビット単位の生の視覚データを生成する。それをリアルタイムでデータセンターに送信すれば、産業用無線向けに設計された倉庫であっても、無線リンクは飽和してしまう。収まる程度まで強く圧縮すれば、モデルが必要とする解像度は失われる。収まるほどストリームを圧縮すれば、モデルが必要とする解像度が失われる。

信頼性が議論にとどめを刺す。倉庫では日常的に接続が途切れる。ネットワークが落ちると停止するロボットは、人間よりも劣る作業者だ。事業者は、保証できない無線リンクに依存するフリートを配備するつもりはない。

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実運用速度で閉ループの物理作業を行うすべてのヒューマノイドロボットは、ローカルで推論を実行することになる。問題は、その実行を担うコンピュートが何かということだ。

決着をつけたスタック

Nvidia Jetson AGX Thor」モジュールは2026年に商用出荷された。パッケージ内部には、最大2.6GHzで動作する14個のArm Neoverse V3AE CPUコア、2070 FP4テラフロップスを実現するBlackwellクラスのGPU、128ギガバイトのLPDDR5Xメモリーが搭載されており、すべてが130ワットの電力エンベロープ内に収まっている。エヌビディアとArmは自社のプレス資料でこのパートナーシップについて説明している。Jetson Thorは現在、主要なヒューマノイドプログラムが設計の基準とするリファレンスプラットフォームとなっている。

これは、本稿の読者がデータセンター関連の記事ですでに知っているのと同じアーキテクチャパターンである。CPUとGPUが1つの緊密に結合されたSoC上に搭載される。Armコアが制御ロジックを処理し、エヌビディア製シリコンが並列推論を処理する。Vera Rubinプラットフォームはデータセンター版をパッケージ化し、Jetson Thorはエッジ版をパッケージ化している。コンピュートレイヤーは、AIピラミッドの両端で同じ2社に収斂しつつある。

Teslaという例外

Teslaは目に見える例外だ。Teslaが4月にテープアウトしたAI5チップは、社内で設計されたカスタムシリコンであり、OptimusとCybercabの両方に使用される予定だ。マスクは、Teslaの特定のワークロードにおいて、単一のAI5ダイをエヌビディア H100と比較してベンチマークを行った。量産目標は2027年半ばだ。Teslaの垂直統合戦略は、OptimusがJetson Thorで出荷される可能性が低いことを意味する。しかし、Teslaは標準スタックから離脱できるシリコン能力を持つ唯一の信頼できるヒューマノイドプログラムでもある。他のすべては購入する側だ。

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