北米

2026.05.22 16:00

トランプが大注目のAI大統領令への署名を延期、「内容の一部が気に入らなかった」

Chip Somodevilla/Getty Images

Chip Somodevilla/Getty Images

ドナルド・トランプ大統領は、AIの一般公開前に政府による審査を実施することを目指す大統領令への署名を延期した。米国時間5月21日、トランプは記者団に対し、この大統領令は米国内におけるAI開発の進展を阻害する恐れがあると語っている。

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トランプは世界有数の経営者らを交えて署名される予定だったこの大統領令について、「内容の一部が気に入らなかった」と述べた。この大統領令が「障壁になる恐れがある」との考えを付け加え、中国との間で繰り広げられているAI軍拡競争において、米国の立場を危うくしかねなかったと示唆した。

「われわれは中国をリードしているし、他国すべてをリードしている。その邪魔になるようなことは何もしたくない」とトランプは語った。

ニューヨーク・タイムズによると、この大統領令が発令されていれば、国家サイバー長官室などの政府機関が2カ月をかけてAIモデルの審査の枠組みを構築する予定だった。アクシオスによれば、この大統領令の狙いはAIモデルの審査だけでなく、サイバー人材の強化や病院や銀行などのサイバーセキュリティシステムの改善を通じて米国内のサイバーセキュリティ対策を強化することも視野に入っていた。また、この大統領令はAI企業と政府の間でデータ侵害の脅威に関する情報を共有することも推奨している。

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AIが急速に進展する中、トランプ政権はこれまでAIに対して厳しい規制を設けない姿勢を取ってきた。J・D・ヴァンス副大統領は2月、欧州の同盟国に対し、AIに対する「過剰な規制」を避けるよう要請し、「革新的な産業がまさに軌道に乗ろうとしているときに、その産業を潰してしまいかねない」と指摘した。ヴァンスは加えて、米国はAI分野における世界のリーダーであると主張し、「未来は安全性について手をこまねいているだけでは勝ち取れない。作り上げることで手にすることができるのだ」と述べた。

しかし、アンソロピックがソフトウェアの脆弱性を容易に発見・悪用できる強力なAIモデル「Mythos」を発表したことをきっかけに、トランプ政権はAI規制に対する姿勢をいくらか変化させている。アンソロピックは、悪意のある者がこれを利用して米国内の重要システムやインフラを攻撃する恐れがあるという国家安全保障上の懸念から、一般消費者に向けてMythosを即座にリリースする計画はないとしている。

Mythosが公開されたのは、アマゾン・ウェブ・サービス、アップル、ブロードコム、シスコ、クラウドストライク、グーグル、JPモルガン・チェース、リナックス・ファウンデーション、マイクロソフト、エヌビディア、パロアルトネットワークスなどの一部の企業に限られる。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、アンソロピックはMythosへのアクセスを認める企業数を増やそうとしたものの、ホワイトハウスは、安全保障上の懸念や、政府によるMythosの運用に必要な計算能力が圧迫されることなどを理由に反対の意思を示したという。

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forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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