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2026.05.24 17:00

トランプ次男の小児がん慈善団体は、一族の事業にどう資金を流し続けてきたか

エリック・トランプ(Photo by Carmen Mandato/Getty Images)

州当局の調査が続く中、不透明さを増した財団の財務諸表

州当局による調査が本格化していた2017年9月18日、キュアティビティは再びウェストチェスター郡のトランプ・ナショナル・ゴルフクラブでイベントを開いた。会場の雰囲気は以前とは変わっていた。警備員は入口でメディア関係者を見つけて追い返そうと目を光らせ、ゴルファーも、クラブで何が行われているのかを尋ねられると口を閉ざした。ある参加者は「プライベートイベントだよ。私は何も知らない。私有地で行われる、私的な催しだ」と語った。

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エリックの団体の財務諸表は、不透明さを増していった。同団体は、調査が始まる前には、トランプ・オーガナイゼーションへの支払いを時おり「利害関係者との取引」として記載していた。エリックが理事会を離れた後、そうした開示はなくなった。同団体は資金集めイベントの一部費用を項目別に記載していたが、「賃料/施設費」の欄は空欄のままだった。当局が調査を進める中、同団体の資金集め費用は、2016年の38万4000ドル(約6106万円)から、2017年には11万1000ドル(約1765万円)へと減少した。

2019年、費用が過去最高の約6233万円に達した資金集め

司法長官室は、2018年末までに、キュアティビティに対し、この調査は「処分よりもコンプライアンスの是正を主眼としたものだ」と伝えていた。そのころから、エリックが再び表に出てきた。彼は、父親が大統領を務める間は財団から距離を置くと以前に約束していたにもかかわらず、再びマーケティング資料に登場し始めた。やがてエリックは、資料で「キュアティビティの創設者」と紹介されるようになった。

その後、年次の資金集めイベントの費用は再び急増し、2019年には過去最高の39万2000ドル(約6233万円)に達した。ただ、開示書類がますます不透明になったため、そのうちどの程度がトランプ・オーガナイゼーションに渡ったのか、そもそも渡っていたのかも分からないままだった。

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2020年、キュアティビティは2回目となる大規模な資金集めイベントをドナルド・トランプが新たな自宅としたマール・ア・ラーゴで開き、30万9000ドル(約4913万円)を支出した。2021年には、かつてトランプ・オーガナイゼーションの広報担当者だったアマンダ・ケネディが同団体の理事会に加わった。

その後、ララ・トランプの地元であるノースカロライナ州のトランプ所有クラブでも、小規模なイベントが開かれるようになった。先月には、フロリダ州ジュピターにあるトランプのゴルフ場でも別のイベントが開かれた。この施設は、文字通りエリックとララの自宅の裏庭にある。

トランプ・オーガナイゼーションが現在も数年前と同程度の料金を請求しているとすれば、同社はキュアティビティから年間20万ドル(約3180万円)の収入を得ている可能性がある。その場合、同社がエリックの慈善団体から得た収入は、2007年の設立時からの累計で100万ドル(約1億5900万円)を超える計算になる。

回顧録で調査を政治的な陰謀だと主張したエリック・トランプ

トランプの次男の代理人は、複数回のコメント要請に応じなかった。エリック自身は、調査がもたらした汚名をぬぐい去ろうとするかのように、時おり自分に都合のよい形で財団について語っている。彼は2025年に出版した回顧録で、「おそらく、人生で初めて深く『傷ついた』出来事だった」と書いている。「実際、私はその言葉をもう二度と使わないと思う。私は机の上にメモを置いた。『善行は罰せられる』と書かれたそのメモは、今もそのまま置いてある」。

エリックは、調査が行われた背景に、「メディアと法執行機関が結託した、政治的動機に基づく大規模な陰謀」があったと主張した。「財団はまったく潔白だった」と述べ、「もしドナルド・トランプが民主党員で、私の名前がマリアやサーシャだったなら、私が作り上げたものに対してノーベル平和賞を授与されていただろう」と書いている。

純資産が約477億円に急増した現在も、資金集めがトランプ施設で続く

2025年9月、エリックはウェストチェスター郡のトランプ・ナショナル・ゴルフクラブで開かれたキュアティビティの第19回年次資金集めイベントで、会場の中心に立っていた。サウジアラビアからは、トランプ家と2000万ドル(約31億8000万円)超の契約を結んできた不動産会社の会長ユセフ・アル・シェラシュが出席していた。ベトナムでトランプ家との協業を始めるために500万ドル(約7億9500万円)を支払った企業を率いるダン・タイン・タムも、姿を見せた。

アメリカン・ビットコインを率いる30代の暗号資産起業家、マイケル・ホーも出席していたようだ。エリックは同社株の6%を保有しており、その保有分の価値は約7500万ドル(約119億2500万円)に上る。

父親が再選されて以降、エリックの純資産は急増した。2024年時点で推定4000万ドル(約63億6000万円)だった彼の資産は、現在では3億ドル(約477億円)に膨らんでいる。今のエリックなら、セント・ジュードに数百万ドル(数億円)の小切手を個人で直接切ることも容易だ。その場合、経費率は文字通りゼロになる。慈善活動の効率性という意味では、これ以上ない形だ。

だが、エリックが個人で小切手を切るだけでは、父親のクラブに支援者を集め、自分を主役にした華やかな宴を開くことはできない。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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