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2026.05.24 17:00

トランプ次男の小児がん慈善団体は、一族の事業にどう資金を流し続けてきたか

エリック・トランプ(Photo by Carmen Mandato/Getty Images)

エリック・トランプ(Photo by Carmen Mandato/Getty Images)

トランプ大統領の次男エリック・トランプは、小児がんと闘う子どものために多額の資金を集め、寄付してきた。同時に、エリックは自分の慈善団体について、実態とは異なる物語を長年にわたって広めてきた。この財団の寄付金のほぼ全額が小児がん病院に届くと彼が説明していた裏で、財団は資金の一部をトランプ家の施設や事業に支払っていた。エリックは現在もその問題を認めるどころか、不当に攻撃されたと訴え続けている。

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情報公開文書が明らかにした、慈善団体からトランプ家への資金移動

トランプ大統領の次男エリック・トランプは先月、チャールズ英国王を招いた公式晩餐会に出席する数時間前のXの投稿で、自己弁護した。トランプの金融帝国の後継者であるエリックは、自身が率いる上場企業がビットコインを市場価格の半分程度のコストで採掘できると投資家に説明していた。これに対してフォーブスは、その話が幻想にすぎないことを報じていた。

エリックは、5パラグラフに及ぶ投稿でフォーブスの記事に反論し、以前からの主張を繰り返した後、10年近く自身を悩ませてきた別の問題に話を移した。フォーブスは、2017年の記事でエリックが率いる小児がん慈善団体の運営をめぐる問題を報じていた。

「今回フォーブスが持ち出した話は、彼らが何年もかけて私を攻撃してきたときと何も変わらない。私は若いころ、セント・ジュード小児研究病院で死に瀕した子どもを救おうと心血を注いだだけだった。その活動の累計経費率は、記録的な低さの9.2%だった。それなのに、こんな話を持ち出すのは正気とは思えない」とエリックは投稿した。

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エリック・トランプ財団が一定の成果を上げていたのは事実だ。テネシー州にある小児がん病院「セント・ジュード」に2500万ドル(約39億7500万円。1ドル=159円換算)超を寄付していた。同財団は、実務の多くを他の団体に任せ、自分たちは資金集めに集中する仕組みで運営されていた。そのため、効率性を高めやすい面も確かにあった。同時にエリックの団体は、誤解を招く売り込み文句、ずさんな会計、利益相反を抱えた理事会、そしてビリオネアであるトランプへの明らかな忠誠心に支えられていた。元従業員によると、トランプは、自身の営利企業に対し、次男の慈善団体に利用料を請求するよう徹底していた。

ニューヨーク州司法長官は、フォーブスが数年前にこの問題を最初に報じた直後に調査を開始した。その後、この問題が大きく取り上げられることはほとんどなかった。

この話には続きがある。情報公開請求を通じて入手した数千ページの文書からは、エリックの売り文句がどれほど不誠実なものだったかが見えてくる。彼は、財団の資金集めイベントの費用について、実態と異なる説明をしていた。父親のゴルフ場の利用料、出演者を招く費用、オークション品を用意する費用などだ。エリックの団体は、2011年から2016年にかけて一連の取引を通じ、少なくとも50万ドル(約7950万円)の慈善資金を、トランプ家の不動産に流していた。その大半は、この非営利団体の税務申告書に記載されず、これまで公に開示されていなかった。

トランプ家がスキャンダルを切り抜ける戦略をたどってきた慈善団体

これら文書は、トランプ家を長年見てきた人々が抱いてきた疑問にも答えている。それは、「トランプ家は、なぜ次々とスキャンダルに巻き込まれながら、ほとんど傷を負わずに切り抜けられるのか」という疑問だ。彼らの戦略はまず、多くの場合、ケーブルニュースやソーシャルメディアを通じた反撃から始まる。次に、弁護士を使って書類上の痕跡を覆い隠すなど、守りに回る。

トランプ家は、深刻な処分を免れるために必要な範囲でのみやり方を変える。根本的には何も変えない。法的な追及が収まると、むしろ勢いを増して再び表舞台に戻ってくる。「我々は不当に扱われた」と訴え、世間にもう一度信じるよう求める。実際、それに応じる人も少なくない。

エリック・トランプ財団は、まさにこの流れをたどってきた。スキャンダルにのみ込まれてから9年が経った現在、名称を変えたエリックの非営利団体は、資金集めイベントを拡大している。その支出は年間50万ドル(約7950万円)を超える。イベントはほぼ例外なく、トランプの所有施設で開かれている。

無料を約束していた財団で2010年から経費が急増し始めた

エリックは、何か良いことをしたいと考えた裕福な友人とともに、この慈善団体を立ち上げた(エリックの代理人は、複数回のコメント要請に応じなかった)。彼が2007年に内国歳入庁(IRS)に提出した申請書には、「我々が最初の資金調達活動として選んだのは、ゴルフトーナメントだ。財団には、会長の家族がニューヨーク州とニュージャージー州に所有する3つのゴルフ場を利用できる利点がある」と記されている。この慈善団体は、その幹部が率いる企業とはリース契約やその他の合意を結ばないと約束していた。

最初の3年間、この仕組みは機能した。税務申告書によると、2007年から2009年にかけて、エリックと仲間は招待制のゴルフ大会を開催し、年間約5万ドル(約795万円)を支出しながら、毎年数十万ドル(数千万円)を集めていた。

2010年になると、状況が変わり始めた。トランプ・オーガナイゼーションの従業員が理事会に加わり、慈善団体とトランプ家の事業の距離が近くなったためだ。その翌年、経費は14万2000ドル(約2258万円)に急増した。

全員に費用を請求しろと言ったドナルド・トランプ

イアン・ギリュールは、ニューヨーク州ウェストチェスター郡にあるトランプ・ナショナル・ゴルフクラブで、かつて会員・マーケティング責任者を務めていた。彼は9年前、フォーブスの取材に応じ、こうした変化のきっかけはドナルド・トランプにあったと語った。

「初期のころ、彼らにはクラブの利用料が請求されていなかった。請求書はただ消えていた」とギリュールは語る。「トランプは激怒した。完全にキレた。『こちらはこれだけ提供しているのに、書類上の記録もないのか。こちらの貢献として扱われないのか』という調子だった。そして怒り狂った。彼は『息子だろうが関係ない。全員に費用を請求しろ』と言った」。

その結果、誰に対しても請求書が送られるようになった。

次ページ > ゴルフ場やホテルが2011年から2016年に財団へ送った請求書

翻訳=上田裕資

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