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2026.05.24 17:00

トランプ次男の小児がん慈善団体は、一族の事業にどう資金を流し続けてきたか

エリック・トランプ(Photo by Carmen Mandato/Getty Images)

ゴルフ場やホテルが2011年から2016年に財団へ送った請求書

2011年のイベント後、トランプ・ナショナル・ゴルフクラブはエリック・トランプ財団に2万ドル(約318万円)の請求書を送った。フォーブスは公開記録請求を通じて、その写しを入手した。金額の下には、ご不明な点があればダン・スカビーノまで問い合わせるよう促す1文が、電話番号とともに記されていた。

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現在はホワイトハウスの次席補佐官を務めるスカビーノは当時、請求する側のゴルフクラブ総支配人でありながら、請求される側の財団理事でもあった。利益相反は明らかだった。請求書には、エリックの署名もあった。彼がこの請求書に署名したのが、トランプ・オーガナイゼーションの幹部としてだったのか、それとも慈善団体の責任者としてだったのかは分からない。

2012年は請求がなかった。しかし、トランプのクラブはその後もエリックの慈善団体への請求を続けた。金額は、2013年に10万ドル(約1590万円)、2014年に8万8000ドル(約1399万円)、2015年に約8万ドル(約1272万円)、2016年に9万9000ドル(約1574万円)だった。

他のトランプ関連施設もこの流れに加わった。ホテル「トランプ・ソーホー」は、エリックの非営利団体に2014年に4万5000ドル(約716万円)、2015年に少なくとも8000ドル(約127万円)、2016年に2万3000ドル(約366万円)を請求した。トランプ家はこのホテルを2014年時点で約18%所有していたが、現在は持ち分を手放している。

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マール・ア・ラーゴも2016年、トランプが大統領の座に近づく中で、関連イベントの費用として1万1000ドル(約175万円)を受け取っていた。

非営利団体のエリック・トランプ財団は、営利企業であるトランプ・ナショナル・ゴルフクラブに対し、何年にもわたり支払いを行っていた。以下に、その金額を時系列順に掲載する。

2011年12月13日:2万ドル(約318万円)
2013年11月12日:10万ドル(約1590万円)
2014年12月22日:8万7665.17ドル(約1394万円)
※2015年9月21日:ドナルド・トランプ・ジュニア、エリック、イバンカ・トランプが、トランプ・ナショナル・ゴルフクラブで開かれた第9回エリック・トランプ財団ゴルフ招待イベントに出席
2015年10月15日:7万8153.93ドル(約1243万円)
2016年3月21日:2万1464.60ドル(約341万円)
2016年10月31日:7万7264.76ドル(約1229万円)

エリック・トランプ財団は、マンハッタンにあるトランプブランドの物件で、10%割引を受けてホテル客室代を支払っていた。

2007年9月19日:ドナルド・トランプは2007年、上の3人の子どもとともにトランプ・ソーホーを開業した。これ以降、エリックの財団の支払い先は、トランプ・ソーホーとなった
2014年5月22日:2万5910ドル(約412万円)
2014年6月12日:685.16ドル(約11万円)
2014年12月15日:1万8225ドル(約290万円)
2015年3月25日:1570ドル(約25万円)
2015年6月25日:6885.50ドル(約109万円)
2016年8月31日:2万906.20ドル(約332万円)

2016年9月19日:エリックと妻のララ・トランプは、エリック・トランプ財団のゴルフ招待イベントに出席した。この数カ月後、同慈善団体はスキャンダルにのみ込まれることになる
2016年11月26日:1750ドル(約28万円)

トランプのプライベートクラブは2016年4月、132人が参加するディナーを開催した。

2015年6月9日:1万758.50ドル(約171万円)。マール・ア・ラーゴ・クラブへの支払い

経費率は世界最低水準と主張、その裏で膨らみ続けた財団の費用

2014年、エリックは自分の慈善団体の資金集めイベントで、夜のプログラムに手紙を寄せた。その冒頭には「親愛なる友人のみなさん」と記されていた。内容は次の通りだ。

「エリック・トランプ財団は、世界中の慈善団体の中でも最も低い経費率を誇る団体の1つであることを誇りに思っている。今日、多くの非営利団体は、豪華なチャリティーイベントを開き、著名人に出演料を払い、CEOや職員に高額な報酬を支払っている。当財団は、トランプが所有・運営する施設のみを使用し、常勤ボランティア、寄付された飲食物、無償で出演する著名人のみでイベントを運営することで、集めた資金のほぼ全額をセント・ジュードに届けることを目指している」。

フーターズのウェイトレスや、エリックを模した首振り人形を起用したこうしたイベントは、年を追うごとに費用が膨らんでいった。

イベントには大物エンターテイナーも出演した。ハードロック歌手のブレット・マイケルズとディー・スナイダー、カントリー音楽のジョン・リッチとビッグ・ケニー、コメディアンのリサ・ランパネリとギルバート・ゴットフリードだ。その多くは、テレビ番組『セレブリティ・アプレンティス』の出演経験者だった。エリックは、後のフォーブスの取材に、「彼らは無料で出演した」と語ったが、自ら9万ドル(約1431万円)超の小切手に署名していた。

財団のオークションにも、スポーツや音楽、映画関連の記念品が出品されていた。エリックは、それらが寄付されたものだと語っていた。実際には、彼の慈善団体はオークション品を揃える者に少なくとも6万5000ドル(約1034万円)を支払っていた。2012年にエリック・トランプ財団は、ファッション関連品や宝飾品を確保するために6040ドル(約96万円)を支払ったが、落札による収入は3310ドル(約53万円)にとどまった。

かつてエリック・トランプ財団のコーディネーターを務めたリン・パットンは、財団の支払い担当者とみられる相手に、こうメールで依頼していた。「こんなことをお願いするのは気が重いのですが、エリック・トランプ財団からザ・リアルリアル宛てに6040ドル(約96万円)の小切手を切ってもらえますか。ザ・リアルリアルは慈善団体ではありません。ただの高級品販売業者です。ET(エリック・トランプ)が月曜日に署名します。ありがとう! もう二度とやりません。笑」。パットンは現在、大統領補佐官代理だ。

移動手段にも費用がかかっていた。初期のころ、エリックの財団は、マンハッタンのミッドタウンにあるトランプタワーからウェストチェスター郡のトランプ・ナショナルまで参加者を運ぶため、数千ドル(数十万円)でバスを手配していた。後年になると、リムジンや専用車の利用が増えた。

サニーズ・ワールドワイド・ショーファード・トランスポーテーションは、エリックや母親のイバナ、テレサ・ジュディーチェなどの送迎費として、財団に3万5000ドル(約557万円)超を請求していた。ジュディーチェは、リアリティ番組『リアル・ハウスワイブス・オブ・ニュージャージー』でテーブルをひっくり返した場面で知られ、破産詐欺でも有罪となった人物だ。フォーブスが入手した請求書によると、フーターズへ向かうスプリンターバンの手配も請求対象に含まれていた。

財団の資金は、他の慈善団体にも数十万ドル(数千万円)規模で流れていた。その中には、小児がん支援との関係よりも、トランプ家の個人的な関心との結びつきの方が目立つ団体もあった。エリック・トランプ財団から資金を受け取った非営利団体のうち少なくとも3つは、ドナルド・トランプのゴルフ場で資金集めイベントを開いていた。エリックは2013年、家族のワイナリー近くで開かれたブドウ栽培関連イベントで、装飾用の銅製蒸留器とアンティークのボトル洗浄機を購入するため、慈善団体の資金1600ドル(約25万円)を充てていた。

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翻訳=上田裕資

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