政治

2026.05.19 08:00

UAEが離脱してもOPECは消滅しない

オーストリアの首都ウィーンにある石油輸出国機構(OPEC)本部。2024年2月29日撮影(Thomas Kronsteiner/Getty Images)

オーストリアの首都ウィーンにある石油輸出国機構(OPEC)本部。2024年2月29日撮影(Thomas Kronsteiner/Getty Images)

アラブ首長国連邦(UAE)の石油輸出国機構(OPEC)からの脱退は、同機構に大きな変化をもたらし、原油市場に影響を与えるのだろうか? 他の加盟国も同様に離脱を決断するか、あるいはUAEの脱退への報復として価格競争が勃発するなど、さまざまな可能性が考えられる。いずれにせよ、OPECの影響力は衰退し、場合によっては消滅する可能性もある。

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言うまでもなく、米作家マーク・トウェインがかつて述べたように、OPECの終焉(しゅうえん)に関するうわさは誇張され過ぎている。市場が均衡している時、あるいはまれではあるが、OPECに余剰生産能力がない時は、同機構は長期間にわたって活動を停止するか、無力な存在となる。家にアイスクリームがない時にダイエットがうまくいくのと同じように、加盟国は余剰生産能力がなければ生産割当量を破ることはない。

そして、1986年、1998年、2014年、2020年のように原油価格が暴落した際、OPECは過去の多くの組織と同様に失敗したのだと考える者もいた。しかし、そのたびに同機構は不死鳥のようによみがえり、暴落前の水準よりは低いものの、目標価格に近い水準まで回復してきた。

明らかに、インドネシアやエクアドルなど、OPEC離脱の過去の事例では懸念は生じなかった。インドネシアは純輸入国となり、エクアドルはそもそも主要な輸出国ではなかったからだ。その他の国々、とりわけ1980年代後半のイラク、1990年代のベネズエラ、そして現在のイラクは生産割当量を超過したが、OPECからの脱退については議論にならなかった。協同組合が会費の支払いを強制しない限り、脱退する動機はないからだ。

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しかし、UAEの場合は多少事情が異なる。同国は主要な産油国であり、中東情勢が悪化する以前の供給量は日量350万バレル、生産能力は430万バレルに達し、非湾岸加盟国を2倍以上も上回っていた。さらに、来年までに生産能力を日量100万バレル以上拡大することを目指している。これは他のどの産油国も達成できない規模だ。

イラン情勢の影響を除いても、1年間でこれだけ供給量が増えれば、市場に大きな影響を及ぼすことになるだろう。イランで紛争が勃発する以前は、世界の石油生産量が需要を日量200万バレル以上上回っているとみられていたが、その余剰分の大部分は中国の戦略備蓄として吸収されるか、米国の制裁により販売が困難になったため、海上貯蔵施設に蓄積されていた。

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翻訳・編集=安藤清香

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