政治

2026.05.19 08:00

UAEが離脱してもOPECは消滅しない

オーストリアの首都ウィーンにある石油輸出国機構(OPEC)本部。2024年2月29日撮影(Thomas Kronsteiner/Getty Images)

イラン情勢が落ち着けば、ペルシャ湾岸地域の石油生産量は数カ月後には回復すると見込まれ、情勢が悪化する以前の水準を下回るとは考えにくい。現在の経済情勢の不確実性を踏まえると、原油市場は再び供給過剰に陥るだろう。イランへの制裁が解除されれば、供給過剰は若干拡大すると考えられる。UAEからの供給が日量100万~150万バレル増加し、経済や需要の低迷が加われば、供給過剰は一層深刻になるだろう。イランへの制裁が解除されれば、海上貯蔵施設に滞留する原油量は昨年ほど増加しないだろう。

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少なくとも、遅くとも来年末までには国際石油市場は深刻な供給過剰に陥り、原油価格は下落する可能性が高い。その時点で、OPEC加盟国は生産割当量を再び削減するか、原油価格の下落を容認するかの選択を迫られるだろう。サウジアラビアとUAEの政治的緊張を考えると、サウジアラビアが過去に行ってきたように、原油価格を維持するために一方的に減産する可能性は低いと思われる。

最も可能性の高いシナリオは、原油価格が大幅に下落し、UAEが減産を迫られるというものだ。生産量はイラン紛争前の水準を上回るものの、UAEが目標としている日量500万バレルを大幅に下回る可能性がある。確かに、UAEは巨額の財政準備金を有しており、原油価格の長期的な下落にも耐え得るだろう。だが、近隣諸国からの政治的圧力に抵抗し続ければ、深刻な問題になり得る。

UAEがOPECに復帰するか、少なくともロシアなど非加盟の産油国から成る「OPECプラス」の事実上の一員となり、非公式ながらも新たな生産割当量を受け入れるよう促すには、経済的な観点が説得力のある論拠となるかもしれない。OPECの強みは、加盟国に減産を強いることはあっても、高い原油価格を維持できる能力にある。過去数十年間を見ても、生産量の10%を超える減産を求められることはまれであり、1998年のような原油価格暴落時には50%以上の価格回復が実現した。これこそが同機構の成功を支える説得力のある論理であり、新たな価格競争が勃発した場合にも、この論理は成り立つだろう。

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イラン情勢が収束し、世界経済が回復するにつれ、情勢が悪化する以前の1バレル65~70ドルという原油価格は、特にUAE、イラク、ベネズエラが増産に踏み切る場合、維持不可能となる可能性が高い。しかし、世界の在庫が回復し、需要状況が明確になるまでは、その実態は明らかにならないだろう。それまでは、UAEの動向や減産を求める圧力を無視する姿勢次第で原油価格は大きく変動する可能性がある。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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