経済

2026.05.19 10:00

石油より不安定な「重要鉱物」の時代、レアアースが引き起こす新たな資源戦争

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私がCreative Strategiesに加わった1981年当時、パーソナルコンピューター革命はようやく形になり始めたところだった。最初期の仕事の1つは、マザーボードとPCを可能にする、目立たないが不可欠な素材を突き止めることだった。その時点ですでに、テクノロジーはイノベーションだけで動くのではなく、適切な場所で適切なタイミングで適切な材料と鉱物へアクセスできるかどうかで動くことが明らかだった。あれから40年以上が経過した現在、静かな依存関係は世界的リスクを規定する要因となり、テック産業をはるかに超える影響を伴う、巨大な利害が絡む競争へとエスカレートしている。

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あらゆる種類のテック製品に使われる重要鉱物の需要は以前から強かったが、こうした特殊な素材をめぐる新たな争いは、現在の石油をめぐる争い以上に劇的になる可能性がある。

イスラエルと米国による対イラン紛争の最中、原油価格は1バレル110ドルを超える水準へ急騰した。確かに劇的だ。しかし歴史が示す通りだとすれば、こうした石油起因の混乱は、これから訪れる事態の前触れにすぎないのかもしれない。

私たちは重要鉱物(クリティカルミネラル)の時代へ入りつつあり、それは石油の時代よりはるかに不安定化をもたらす様相を呈している。

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既視感、しかしより暗い

石油の台頭との類似は見逃しがたい。19世紀末以降、石油へのアクセスは国家の力と同義になった。いま、その役割をコバルト、リチウム、ニッケル、レアアース(希土類元素)が担いつつある。これらの材料は電気自動車(EV)やクリーンエネルギーだけでなく、21世紀の力を規定するデジタルインフラや先端兵器システムにとっても不可欠である。

その数字は驚異的だ。国際エネルギー機関(IEA)によれば、2024年だけでリチウム需要は約30%急増した。これは2010年代全体の年平均成長率のおよそ3倍だ。

コバルト、グラファイト(黒鉛)、ニッケル、レアアースはそれぞれ6〜8%伸びた。EVや先端兵器に使われるジスプロシウムやテルビウムといった重レアアースの価格は、2020年以降で3倍超となっている。2040年までに、IEAはリチウム需要がわずか数年前の5倍になると予測している。

これはトレンドではない。ブームである。

呪いの再来

この鉱物ラッシュは、途上国全体で探鉱を加速させている。そしてそこには、見覚えのある厄介な筋書きが伴う。私たちはこれまでに、これとまったく同じ歴史の焼き直しを目にしてきた。制度的基盤がない国々に資源の富が流れ込み、エリートがその利益を取り込み、経済の多角化は停滞し、幅広い国民はほとんど恩恵を得られない。

経済学者はこの一形態を「オランダ病」と呼ぶ。資源ブームによる輸出収入が通貨を押し上げ、世界で競争しようとする他産業を静かに締め上げてしまう現象だ。

石油富裕国は何十年もこの問題に苦しんできた。次に並ぶのは鉱物資源に恵まれた国々である。

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