比較が成り立たなくなるところ
ここに決定的な違いがある。しかも小さな違いではない。
石油が地政学的な支配力を持つに至ったとき、世界には足場があった。機能する多国間制度、支配的な基軸通貨、そして不完全であれ基本的な国際ルールを下支えする意思を持つ超大国だ。石油の時代は不安定だったが、認識可能な枠組みの内側にあった。
重要鉱物の時代には、その足場がない。不確実性は構造的であり、地政学的であり、技術的であり、制度的でもある──しかも同時に、重なり合っている。サプライチェーンが特定の地域に集中し、深刻なボトルネックを生んでいる。中国は最重要材料の多くで精錬能力を支配している。資源に恵まれた小国は、突如として得た富を責任ある形で管理する統治能力を欠く。そして、これらの材料へのアクセスをめぐる地政学的競争は、それを管理する国際的枠組みの整備をはるかに上回る速度で加速している。
「グリーン」を「安定」と勘違いしてはならない
再生可能エネルギーが主流となるエネルギーの未来は、化石燃料の時代よりも紛争が起きにくい、という魅力的な物語がある。掘削は減り、汚染は減り、変動の大きい産油国への依存も減る──それ自体は決して悪い話ではない。
だが、その物語は危ういほど不完全だ。クリーンエネルギーへの移行は、資源をめぐる地政学を消し去るのではない。移し替えるだけだ。中東の油田をめぐって争う代わりに、競争の場は南米のリチウム鉱床、コンゴ民主共和国のコバルト鉱山、中国のレアアース加工施設へと移る。利害の大きさは同じだ。それを管理する制度ははるかに弱い。
結論
石油の時代は禁輸、価格ショック、国有化の波、資源戦争をもたらした。混乱し、コストも大きかった。しかし少なくとも、世界にはそれを管理してきた経験がいくらかあった。
重要鉱物の時代は、より速い到来で、より高い需要成長を伴い、より脆弱な地政学環境の上に成り立ち、しかも乱気流に対処する制度的インフラなしに進んでいる。リスクを「形を変えた石油問題」にすぎないと見なす国や企業は、これから先を危険なほど過小評価している。
統治、国際的調整、サプライチェーンの強靭性(レジリエンス)に必要な備えは膨大だ。そして現時点で、ほぼ誰も準備ができていない。


