建設の前提となるハイパースケール需要、過大な見積もりの可能性
さらに懸念されるのは、この建設の多くが、そもそも過大に見積もられている可能性のある需要に基づいていることだ。アナリストらは、ハイパースケール・データセンターの容量のうち、コロケーション事業者、インフラ投資家、ハイパースケーラーが関わる多層的な仕組みで資金調達やリースが行われる割合が増えていると指摘する。そのため、表面上の需要を読み解くことが難しくなり、最終利用者による実際の利用量を過大に見せている可能性がある。
テザーのアルドイノは、AIの大半はクラウドに接続せず、エッジ、つまり端末側で動くようになると考えている。「集中型データセンター、つまりこうした巨大施設で動くものは、ニッチな用途になるでしょう」と彼はいう。
GPUの寿命はおおむね3〜4年で尽きる。建物は、その中に置かれる機械よりも1世代長く残る。私たちは、急速に価値が目減りしていくハードウェアを収容するために、恒久的な不動産を建設しているのだ。
1998年から2000年、約1億2880キロメートルを超える光ファイバーを敷設
これは以前にも起きたことだ。1998年から2000年にかけて、米国の通信会社は8000万マイル(約1億2880キロメートル)を超える光ファイバーケーブルを敷設した。その背景の一つには、極端に膨らんだ需要予測があった。現在は破綻しているワールドコムは、インターネットのトラフィックが100日ごとに倍増していると悪名高い主張をしたが、これは実際の伸びの約10倍だった。その結果、壊滅的な過剰供給、通信業界の崩壊、そして複数の大手企業の破綻が起きた。
3年で1000分の1に低下した推論コスト、エッジ端末に移る処理
AIを動かす経済性は、皮肉な展開を加えている。推論、つまりAIが回答を1件生成するために必要な計算のコストは、わずか3年で1000分の1に低下した。次世代の推論チップは、さらに大幅なコスト低下をもたらすとされている。
今のところ、このコスト低下は利用を加速させている。推論が安くなると利用が増えるためだ。特に、エージェント型AIシステムは、1つのタスクで何十回ものモデル呼び出しを連鎖させる。しかし推論処理は、専用半導体へ、さらにスマートフォンやノートPCのようなエッジ端末へと移りつつある。エッジへ移った処理はすべて、ユタ州の田園地帯にある倉庫に並ぶGPUサーバー列を必要としなくなる。
バブルの縮図、筋の通らない立地
ここで、本稿冒頭で触れたオリアリーのプロジェクトと、バブル論の中心にある地理的なミスマッチの話になる。オリアリーが建設予定地としているユタ州ボックスエルダー郡には、確立されたテクノロジー人材の集積がなく、水資源も限られている。そこにあるのは土地と、何千人もの住民の反対を押し切って計画を承認しようとする郡委員会である。
これは、バブルの地理的な特徴を縮図にしたものだ。適地だからではなく、計画を受け入れやすいから選ばれた市場で、巨大でニュースの見出しを飾る発表が行われる。その後に続くのは、何年にも及ぶ許認可をめぐる争い、インフラ不足、地域社会の反対だ。


