「玉突き事故が起きた瞬間、法律的な違反だけでなく、それぞれの車内で人災が発生している。これから全員、自分たちの問題に向き合わざるを得なくなる。僕は、それぞれの車の中で起きている事情に共感できる群像劇にしたかったんです」(くるま)
「自分の『善悪の価値観』がどこにあるかによって見え方が変わってきますよね」(雨無)

そして本作には、くるまならではのテクノロジーに対する考え方が反映されている。特に印象的なのが、「撮影前日に決まった」というエンドロールのシーンだ。
「テクノロジーとの共存」のラストシーン
「『AI』や『自動運転』をめぐって、『人類は問いかけられている』みたいな“いい映画のオチ”ってよくあるじゃないですか。でも、ああいう問いを突きつける感じには違和感があって」とくるまは語る。
「僕自身はテクノロジーの中で育ってきて、新しいゲーム機が出たり、ガラケーがスマホに変わったり、パスモがスマホの中に入って嬉しい!ペイペイが出てきた便利!ってやったんですよ。テクノロジーを素直に『便利だな』って受け入れてきた側なんですよね。だから今さら映画に関わったからといって、『テクノロジーに疑問を投げかけて、フィジカルなものの価値を問い直す』みたいなことをやるのは、自分としては嘘だなと思った」という。
「最後のシーンがなかったら、自動運転システムが人間の愚行を見つめているのような、アンチテクノロジー的な作品になってしまうかなと思って。だから最後はテクノロジーに対して『友達だよ』っていう距離感で終わらせたかったんです」(くるま)
この演出については、雨無も「バーチャルプロダクションのスタジオだったからこそできた表現でもありましたね」と振り返る。

「会話したくなる作品に」
「登場人物の事情や失敗って、どこかしら共感できる部分があると思うんですけど、それを観た人同士で『自分はこう思った』『いや自分は違う』って自由に楽しんでもらえたらうれしいです。ひとつの答えがあるわけではなく、観終わったあとに誰かと話したくなるような作品になっていたらいいなと思っています」(くるま)
音声番組『3003-サンゼロゼロサン-』では、タッグを組むに至った経緯や撮影中の秘話について明かしている。6月8日には、東京で開催される国際短編映画祭「Short Shorts Film Festival & Asia 2026」での上映も決まっている。



