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2026.05.18 09:15

安さの裏に潜むリスク、地方移住で直面する「築古物件」の理想と現実

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地方への移住が注目を集める中、安価に入手可能な「築古戸建て」が選択肢の一つとなっている。空き家問題が深刻化する一方で、都市部では得がたい広さや環境を求めて地方へ目を向ける層は多い。しかし、古い物件ゆえのリフォーム費用や維持管理の手間など、経済的な合理性については慎重な判断が求められる。不動産投資の森が実施した「地方の築古戸建てに関する意識調査」の結果からは、理想と現実の狭間で揺れる現代人の本音が浮かび上がった。

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全国の男女500人を対象に行われた調査によると、地方の築古戸建てに住むことについて「あり」と回答した人は61.8%に達した。その内訳は「積極的に検討したい」が8.4%、「条件次第であり」が53.4%となっている。過半数が前向きな姿勢を示しているものの、その多くが「物件の状態」や「周辺環境」などの条件を前提としている点は見逃せない。単に安いからという理由だけで飛びつくのではなく、生活の質を担保できるかどうかが重要な判断基準となっている。

地方の築古戸建てに魅力を感じる理由として、最も多く挙げられたのは「敷地が広い」ことで58.6%にのぼった。次いで「隣家と距離がある」が15.8%、「住宅コストが低い」が15.4%と続く。都市部では地価の高さから妥協せざるを得ない「ゆとりある空間」が、地方では容易に手に入る。子供やペットがのびのびと過ごせる環境や、駐車場・庭の確保、さらには近隣への騒音を気にしなくてよいプライバシーの確保など、空間的な充足感が大きなメリットとして認識されている。

しかし、住む上でのハードルとして圧倒的1位となったのは「維持管理の負担が大きい」という回答で、42.6%を占めた。築古物件特有の老朽化に伴う修繕費の増大や、広い敷地ゆえの草刈り・手入れの手間を懸念する声が目立つ。初期費用を抑えて購入しても、その後のリフォームや維持管理で結果的にコストがかさむリスクがある。また、「生活が不便」という回答が18.2%、「将来的に売りにくい」が16.4%と続き、交通アクセスの悪さや資産価値の下落といった、長期的な生活設計における不安も根強い。

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今回の結果から、地方移住を成功させる鍵は、住宅取得コストとランニングコスト、そして「時間というコスト」のバランスにあると言える。修繕履歴の確認や、需要のあるエリアの選定、あるいはフルリノベーション済みの物件を選ぶといった、リスクを最小限に抑えるための知見が不可欠だ。単なる住居の確保ではなく、将来のライフステージの変化を見据えた「出口戦略」まで考慮した上で物件を精査することが、後悔しない移住への第一歩となるだろう。

出典:不動産投資の森「地方の築古戸建てについてのアンケート調査」より

文=飯島範久

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