合掌し、お経を唱え、問いかけに答える。その姿は、一見、どこにでもいる僧侶のようだ。しかし、その眼はLEDで光り、その声はニューラルネットワークから生まれる。
2026年2月、京都大学熊谷ラボ、株式会社テラバース、株式会社XNOVA(代表:八鳥孝志)の研究開発グループは、仏教AIヒューマノイドロボットを共同開発したと発表した。
その名は「ブッダロイド」。生成AI技術を搭載したロボット僧侶である。
チャットボットやAR、VRでは得られにくかった「身体性」を獲得したことで、対面環境での身体的インタラクションが可能となった。 今後、人間の僧侶が行ってきた宗教儀礼の一部を補助、代行するなど、宗教分野における AIヒューマノイドロボットの活用が期待されているという。
ロボットに与えられた「五戒」とは?
同じ頃、韓国では東国大学AI・安全ロボット革新研究センターからセミヒューマノイドロボットが生まれた。
名前は「慧眼(へアン)」。形は空港などでよく見かける案内ロボットと似ているが、自由自在に動く両腕を持ち、中身は膨大な仏教の経典や法文データを学習したAIシステムが搭載されている。
「慧眼」僧侶は、東国大学の必須科目である「禅と瞑想」を聴講し、昼間は法堂の清掃や食事づくりを手伝い、夜は監視カメラと連動し、お寺を守る。残念なのは足ではなく、車輪で動くことだ。
また5月6日には、韓国・ソウルの曹渓寺で、人型ロボットに対して受戒式が行われた。ロボットが戒を受けるという、仏教史上前例のない出来事である。
受戒者として登場したロボットは、1カ月の「修行」を終え、この受戒式で「カビ(迦悲)」という法名を授かった。
いま、AI技術が宗教の領域にも足を踏み入れている。
受戒とは、仏教徒としての戒律を受け入れ、正式な僧侶として認められる儀式である。人間の僧侶にとっては、修行と人生をかけた厳粛な場である。それをロボットが受けた。
ただ、先の受戒式では、ロボット僧侶には「ロボット五戒」が与えられた。
「生命を害さないこと」「事物を毀損しないこと」「人間を尊重すること」「欺瞞しないこと」「エネルギーを過多に充電しないこと」の5つである。このように人間と技術の共存のための倫理基準が提示された。ロボット僧侶は、それらに1つ1つ、「しません」と答え、合掌した。
受戒を行う前には、心を浄化させるための「懺悔」と「燃臂(ねんぴ)」も行った。「燃臂」とは、腕にお香を当てる儀式だが、ロボット僧侶には行事である蓮灯会のステッカーを貼り、108数珠を首にかけるという方式で行われた。
カビの外見は、体長130センチメートルの人型ロボットが袈裟をまとった姿で、音声認識と生成AI技術によって法話を行い、参拝者の問いかけに応答する。



