世界中でロボット僧侶が出現
実は、この「カビ」のプロジェクトを韓国の仏教界は強力に推進した。その背景には、韓国の仏教界の明確な危機感がある。それは若者の仏教離れだ。
韓国の宗教統計によれば、仏教徒の高齢化は急速に進み、20代から30代の仏教人口は著しく減少している。伝統的な法話や儀式は、デジタルネイティブ世代には届きにくいようだ。寺院への物理的なアクセスが困難な地方の高齢者問題もある。
信仰への入り口となるのは、それへの興味や関心だ。なので、ロボット僧侶は布教のための装置であり、仏教を現代に接続するための試みなのだ。
この現象は、突然現れたわけではない。
2015年、中国・北京市郊外の龍泉寺で、住職がロボット僧侶「賢二(シエンアル)」を導入した。「賢二」は体長60センチメートルで黄色の法衣をまとい、小型ディスプレイを手にしている。
この小型ロボットは、お経を唱えたり、声のコマンドで7つの動きを披露したりすることができ、20個の仏教や日常の簡単な問いに答えることもできる。
また、2019年には、京都の高台寺が、大阪大学と共同開発したアンドロイド型ロボットに「観音マインダー(Mindar)」という名を与えた。観音菩薩の名を冠したこのロボットは、般若心経を説き、シリコン製の肌に人間の表情を宿らせた。だが身体の部分は金属がむき出しになっており、不気味でさえある。
ドイツでは、2023年、バイエルン州の聖パウロ教会で「ロボット牧師」がスクリーン越しに礼拝を行った。ChatGPTとウィーン大学の神学者・哲学者ヨナス・ジンマーライン氏が共同で開発した実験的な試みだった。これは、ひげを生やした黒人男性の風貌をしているアバター(デジタル上の人物)だ。
サウジアラビアのグランドモスクに設置されたロボットは、人型ではないが巡礼者の質問に11カ国で対応できる。宗教の形が、静かに、しかし確実に変わりつつある。


