キャリア

2026.05.19 13:30

ライフシフト著者による「AI時代に70代まで生産性を維持する秘訣」:リンダ・グラットン

人材論・組織論の世界的な権威であるリンダ・グラットンは、これからの仕事、組織の変化をどのように考えているのか。

advertisement

「人工知能(AI)時代を生き抜くには、絶えず学び続け、生産性の向上に励む必要がある」

ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授は、こう話す。日本の読者には説明するまでもないが、彼女は、ベストセラー『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』や『LIFE SHIFT2(ライフ・シフト2)』(いずれもアンドリュー・スコット共著、池村千秋・訳、東洋経済新報社)の著者でもある。

同教授は9月8日、新刊(原著)『Living the 100-Year Life: How to build a career that lasts and a life you love』(仮題『人生100年時代を生きる:息の長いキャリアと、愛すべき人生を築くには』)を出版する。新著では、70 代まで生産性を維持する方法なども論じたという。

advertisement

高齢になっても働く人々が増え続ける「長寿大国」日本では、生涯を通じて生産性向上に努めることが重要だ。そして、その際、カギとなるのがAIだ。AIは生産性を最大50%高めるという。だが、その一方で、「人々の学び方や発達プロセスに影響を与え、熟考や選択の機会を奪う」と、グラットン教授は懸念を示す。

企業幹部やビジネスパーソンはAIをどのように活用すべきか? AI時代のキャリアで最も価値を置くべきこととは? 同教授に話を聞いた。


──まず、生成AIが生産性に及ぼす影響について教えてください。

リンダ・グラットン(以下、グラットン AIの威力はすさまじい。AIエージェントなどを使えば、仕事がスピードアップし、簡単なルーティンワークから解放され、生産性が最大50%高まる。AIには多大なプラスの効果がある。

しかし、その一方で、人々の適切な学び方や熟考、仕事に対して抱く深い思いなどを阻んでしまうという弊害もある。企業の経営陣と話していて感じるが、AI時代には仕事のリデザイン(再設計)が必要だ。「AIをもっと活用しよう」という姿勢だけでは不十分だ。

どのような仕事をAIで自動化し、リデザインすべきか? 人間にしかできない仕事は何か? 人々が仕事に活力や価値を見いだすためには、こうした点を考える必要がある。

今年の秋に出版される新著『Living the 100-Year Life』でも論じたが、長寿時代には、何をどのように学び、どう成長していくかを、もっと自主的に選択する必要がある。

AIとどのように共存すれば、息の長い、素晴らしい職業人生を送ることができるのか? 生成AIが刻一刻と進化する時代には、何が私たちを人間たらしめているのかを理解することが重要だ。

新著で説明したが、人生は、自らが何本もの「糸」で紡いでいく織物のようなものであり、その主要な糸のひとつが「拡張・増幅」だ。私たちは誰もが、テクノロジーを仕事に生かし、人間ならではの能力を拡張していく道を探っていかなければならない。

KEYWORD 01|最重要課題「生産性」
リンダ・グラットン教授は米「フォーブス」1月12日付オンライン記事「2026年の職場改革:生産性、AI、ハイブリッドワークの最優先課題」のなかで、26年の最重要課題として「生産性」を挙げている。以下より、詳細を読むことが可能だ。https://www.forbes.com/sites/lbsbusinessstrategyreview/2026/01/12/the-workplace-changes-that-will-demand-leadership-focus-in-2026/

https://forbesjapan.com/articles/detail/89947

KEYWORD 02|「人生100年時代」
リンダ・グラットン教授が共著書『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』で言及した概念。従来の「学生」「仕事」「老後」の3ステージ型人生から「マルチステージ型人生」への脱皮を提唱。人生100年時代をどう生きるのか、戦略的人生設計書として日本でもベストセラーとなった。ロンドン・ビジネススクール教授のアンドリュー・スコットとの共著。

次ページ > 企業リーダーの「真の課題」

インタビュー=肥田美佐子 イラストレーション=エステバン・プラジバット

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事