ロシア軍の作戦では通常、地上部隊の投入に先立って、まず航空攻撃や火力打撃が行われる。大型ドローンや滑空爆弾、火砲、ミサイルを組み合わせて使用し、敵の防御陣地の一部を弱体化させ、地上部隊が進入するための隙間をつくり出そうとする。ウクライナ側の防御は防空システムや迎撃ドローンを統合運用して、こうした空からの攻撃の効果を制限しているものの、一部の弾薬、とりわけ滑空爆弾はなお防御を突破している。
だが、ウクライナの防御体制の縦深性により、こうした航空攻撃や火力打撃でその防御に完全な穴を開けるのは困難になっている。また、先に述べたとおりウクライナ軍の防御部隊は少人数に分かれて散らばって配置されているので、脆弱性が低減されている。これらの部隊は多くの場合、最初の航空攻撃や火力打撃を受けたあとでも損害を被らず、障害帯を突破しようとしてくるロシア軍の前進部隊に対してドローン攻撃を加えたり、砲兵支援を要請したりできる。
各種弾薬による集中攻撃(バラージ)の間、ロシア側はドローン操縦士を前方に押し出し、戦術FPVドローンを発進させてウクライナ側の人員や装備を捜索させる。しかし、ウクライナ兵らは防御陣地によって物理的に防護されているうえ、電波妨害装置(ジャマー)や散弾銃といった対ドローン装備も配備されており、敵によるFPVドローン攻撃の有効性を削いでいる。
砲爆撃やミサイル攻撃などに続いて、このバラージでつくり出された脆弱な箇所を突くべく、地上部隊が強襲を開始する。しかし彼らはたちまち、厚く何重にも施された障害システムに遭遇することになる。これらはロシア軍部隊の前進を遅らせ、進路を誘導するように設計されている。蛇腹鉄条網は徒歩歩兵の移動を妨げ、竜の歯や対戦車壕は車両の行動を制限する。
これらの障害物を突破するには時間がかかる。これはとくに、その縦深性(厚み、奥行き)と密度のためである。この遅滞により、ウクライナ側の防御部隊は突破の試みを発見し、その箇所にドローンを差し向けたり砲撃を加えたりするといった対応をとることができる。


