経済・社会

2026.05.14 13:30

トランプ関税や地経学リスクに備える 企業が導入すべき経済インテリジェンスの正体

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中堅・中小企業の方々と経済安全保障推進法への対応、地経学リスクについてお話をする際、これらの言葉が「よくわからない」という反応が多い。だが「輸出管理」と言えば、どの企業の方もすぐに理解する。経済安全保障も地経学も比較的新しい言葉だが、その中身は輸出管理や紛争リスク・途絶リスク対応のように、旧来から日本企業が備えてきた内容が多い。何が新しいかと言えば、地域対応、リスクの種類ごとの対応、これらの組織内対応に「横串」を刺して俯瞰し、対応を見いだすことである。「横串」とは、ある企業の担当者の言葉である。

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例えばトランプ関税は、米中対立の産物であるため少なくとも2つの地域軸を同時に見る必要があり、米国内法にもWTOルールにも抵触する可能性があるため法務対応も必要だ。今後関税を課されないように手を打つには、政府渉外と共に、MAGAなどトランプ大統領支持者の動向や現地シンクタンクの経済提言にも目を光らせる必要がある。リスク対応、地域対応、法務対応、調達部門、それぞれの部署をまたいだ横串の刺し方、その判断基準となる情報の集め方と重複の回避、分析と読み解き、そして組織内での共有のコツに新しさと工夫が求められる。昨今は「経済インテリジェンス」とも呼ばれる。

2022年7月に発足した地経学研究所(IOG)は、日本企業の経済インテリジェンスの支援、人材育成、政府への提言も含め社会への発信を業務としている。政府系シンクタンクでも企業内シンクタンクでもなく、大学シンクタンクでもない、民間・独立の新しい「中間解」である。研究員とスタッフはそれぞれ民間企業、政府、大学・研究業界からの転職組や兼任、出向者で構成される混合チームであり、従来の組織のカベにとらわれない特区、「解放区」のようなものだ。

なぜ今、解放区が必要なのか。イノベーションや新たな社会課題への取り組みのため、組織のカベを乗り越えろ、ぶち壊せ、と言いたいのではない。私たちは、カベを破壊されることに対する抵抗感が強い。組織のカベはむしろ、地経学リスクへの備えのため、組織の防衛のため、一層強化する時代である。

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冒頭で触れたリスク対応、地域対応、法務など組織内のカベは重要であり、その強化のためのひとつの道筋が「解放区」ではないだろうか。企業組織の経済安全保障対応(専門部署の設置あるいは担当者の任命)には、3つの経路がある。1. 経理、2. 法務(コンプライアンス対応)、そして3. 経営企画からの枝分かれというパターンだ。どの生い立ちにしろ、直面する最大の課題は同じであり、1. 「横串」の刺し方、そして2. いかに経営層に届けるかだ。

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文=鈴木 均

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