経済・社会

2026.05.14 13:30

トランプ関税や地経学リスクに備える 企業が導入すべき経済インテリジェンスの正体

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さまざまな企業の担当者の話を総合すると、1. 経理(および調達部門)による対応はコスト管理における解像度が高く、経営層へのインプットも強い半面で、情勢判断や将来見通しに課題がある。2. 法務は規制面の対応で緻密な一方で、喫緊の課題や見通しについて経営層へ提言して聞き入れられるアクセス面に課題がある。そして3. 経営企画は、1. 経理と2. 法務の長所を両方とも兼ね、自社にとって有益な情報に横串を刺しつつ将来の見通しを語ることができる立場にある一方で、結局のところ、喫緊の課題や見通しについて進言するアクセス面を、担当者個人の工夫に依存する側面が強い。つまり経済安全保障担当を社内で任命するだけでは、うまく機能しない。

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人員にも予算にも制約がある中堅・中小企業は、IOGへの加入どころか、社内専任者の任命も難しい場合がある。情報収集と分析に多くの人員を割く余裕がないため、これを取引先の大企業や業界団体、メディア情報に頼らざるをえない。例えば経理、法務、経営企画それぞれに兼任者を任命して横断チームを立ち上げるのがはじめの一歩かもしれない。担当者の証言では、収集した情報を自社向けに整理し、経営層へインプットするには、例えば月曜日の朝礼前では「他の案件」のなかに埋もれてしまい、届かない。だが役員会の直前など、喫緊かつ不定期な課題が「議論されそうな」タイミングを狙い、すぐに引用される構成内容の資料を上げるのがコツだそうだ。こうしたベストプラクティスの共有、異なる企業の担当者が経験や悩みをもち寄れる「解放区」の場を増やして掘り下げるため、官民、特に取引先の大企業や業界団体、シンクタンクなどが連携して取り組むことが望まれる。日本はこうした「すり合わせ」が、得意ではないだろうか。


鈴木 均◎地経学研究所 主任研究員。研究分野は日欧関係、通商政策、自動車・航空機産業等。慶應義塾大学大学院法学研究科修士、European University Institute歴史文明学博士。外務省経済局経済連携課、API客員研究員兼CPTPPプロジェクト・スタッフディレクターなどを経て、現在、東京大学先端科学技術研究センター客員上級研究員。

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文=鈴木 均

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