勢いを増すロマンタジーに尻込みする投資家
Janitor AIは、近年の米国出版市場で勢いを増す、ファンタジーとロマンスを組み合わせた「ロマンタジー」のトレンドに乗っている。ノンフィクション分野などが伸び悩む中、ロマンタジーの売上高は2024年に50%増加した。レベッカ・ヤロスのドラゴンを題材にした大ヒットシリーズや、サラ・J・マースの妖精を題材にしたシリーズが、その成長をけん引した。
その代表例が、2025年に刊行されたヤロスの最新作『Onyx Storm(オニキス・ストーム)』だ。書籍販売を追跡するCircanaによると、同社が2004年に集計を始めて以降、成人向けフィクションとして最速の売れ行きを記録している。この現象は実店舗にも広がり、ロマンスをテーマにした書店の開業が相次いでいる。
だが、ロマンタジーというジャンルに、シリコンバレーの一部の投資家は尻込みする。こうした投資家はJanitor AIを、大麻やポルノと並ぶ「バイス」投資のカテゴリーに分類している。多くのファンドは、そうした分野への投資を制限されているためだ。しかし、Janitor AIと同社の支援者は、そうしたレッテルの貼り方は短絡的だと反論している。
Janitor AIの出資者メルセデス・ベントによる反論
ベンチャーキャピタル(VC)ファンドPremiseの共同創業者で、Janitor AIの出資者であるメルセデス・ベントは、「RedditやTumblr、X、Snapchatを考えてみると、いずれもサービス開始当初は、職場で見るには不向きなコンテンツの割合が今より高かった。初期のTumblrとRedditでは、その割合は50%を大きく超えていた。それでも、これらのプラットフォームが提供していた価値の本質は、新たなコミュニケーションにあった」と語る。
ベントによれば、性的なコンテンツは、新しいエンターテインメント・プラットフォームの普及を一気に進める入り口になることが多い。彼女はその例として、家庭用ビデオデッキの初期の普及を後押しした要素の1つとしてアダルト業界の存在を挙げた。
ベントによれば、VC業界は、女性をターゲットとした成人向けエンターテインメントを反射的に切り捨てることが多い。「歴史を通じて、非常に根強い傾向がある。女性の健康や女性の欲望に応えるものは、不必要に不利な扱いを受けてきた」と彼女は語る。
大手AI企業が距離を置く、エロティックなロールプレイ市場
大手AI企業は、より現実的な理由からも距離を置いている。法的リスク、規制リスク、そしてモデレーション上のリスクだ。OpenAIは成人向けのエロティカを認める計画だったが、社内の反発を受け、2026年に入ってその計画を棚上げした。Janitor AIは、許容されるコンテンツの境界線を絶えず押し広げようとするユーザーとの、終わりのないいたちごっこの中にある。
同社の詳細なコンテンツガイドラインは、その攻防の見取り図でもある。ユーザーはそのルールを読み解くことで、非ポルノのコンテンツという枠内にとどまりながら、どこまで性的な表現を強められるかを探っている。例えば、デジタルアバターに関するルールは、思わず笑ってしまうほど細かい。「わずかに濡れた」衣服や「過度に強調された股間の膨らみ」は禁止されている反面、アンダーヘアが「衣服の隙間からのぞく」ことは認められている。家電製品やその他の無生物との性行為は認められており、ロボットとの性行為も、そのロボットに知性があり、同意を示せる場合は認められる。
フォーブスの調査では、米国でJanitor AIを相手取った進行中の訴訟は確認されなかった。ただし、同社の先行サービスにあたるCharacter AIは、主に子どもをめぐる問題で多くの訴訟を起こされている(Janitor AIは18歳未満の登録を認めていない)。今週、ペンシルベニア州は、医師になりすましたチャットボットが処方箋を提示していたとしてCharacter AIを提訴した。
2026年初めには、ケンタッキー州がCharacter AIについて、「子どもを食い物にし、性的な行為に触れさせている」と主張した。また同じ月には、Character AIが損害賠償訴訟で和解した。チャットボットと強い感情的な結びつきを持つようになった14歳のユーザーが自殺したことをめぐり、遺族が起こしていた訴訟だった。


