無人機が兵力の損失を軽減する一助となっている一方で、米国とイランの紛争はロシアの新たな弱点を浮き彫りにし、ウクライナはこれを巧みに利用している。イラン紛争は、エネルギー施設への攻撃がペルシャ湾岸諸国の標的だけでなく、ロシアに対しても莫大な費用を課すことを示した。ウクライナの長距離無人機は、同国から1000キロ以上離れたバルト海沿岸のロシアの石油輸出施設を攻撃している。ウクライナ製無人機は4日、ロシアが制裁を逃れて原油を輸出するために編成した「影の船団」を含むエネルギー施設を攻撃した。こうした攻撃により、ロシアの石油輸送能力は40%減少している。
ウクライナは高度なミサイル防衛システムを巡る競争にも適応してきた。ペルシャ湾岸諸国は3月上旬、イランの弾道ミサイルや無人機を迎撃するために地対空ミサイルシステム「パトリオット」の使用を開始した。これにより、ウクライナのミサイル防衛装備が圧迫され、パトリオットを巡って湾岸諸国とウクライナの間で摩擦が生じるのではないかという懸念が持ち上がった。パトリオットはロシアの弾道ミサイルに対するウクライナの防衛の中核を成すものだ。
しかし、ウクライナはこの難局を好機へと転じた。同国のウォロディミル・ゼレンスキー大統領は3月中旬、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールと安全保障協定を結ぶため、中東を歴訪した。これらの協定により、ウクライナは湾岸諸国に対し、1機当たり1000ドル(約16万円)の防空迎撃無人機を供給する見返りに、1基当たり370万ドル(約6億円)のパトリオットを受け取る。
ウクライナの無人機メーカーは現在、製造能力の6割しか稼働しておらず、700万機の無人機を製造する余力があり、同国は新たな市場を開拓することに成功した。中東諸国だけでなく、欧州やカフカス(コーカサス)諸国もウクライナの無人機技術に注目している。
ウクライナの技術力
ウクライナの成功の鍵の1つは技術力、すなわち新たな技術を発明し、導入し、適応させる能力にある。ある紛争で開発された技術や戦術は、他の紛争へと急速に広まる傾向があるため、最も迅速に技術革新を起こし、最も機敏に対応できる国が最大の優位性を得る。
実際、変革と革新を続けてきたのはウクライナの防衛産業だ。同国は最近、初の中距離攻撃用無人機「フマリンカ」を公開した。これは標準的な無人機に比べて7倍の搭載能力を持ち、射程距離も2倍に及ぶ。フマリンカは大量配備を想定して設計されており、ロシアの防空網を消耗させ、装甲車両や倉庫、空軍基地、そして最も重要な石油精製所といった標的を攻撃し、同国の防衛負担を増大させることができる。これにより、ロシアの石油輸出能力は低下し、迎撃すべき脅威も増す。同国は迎撃機を消耗させるだけでなく、前線にも絶え間ない圧力がかかることになる。
一方で、ウクライナの電子戦は、世界最速とも言われるロシアの極超音速ミサイル「キンジャル」(1発当たり1500万ドル、約23億円)を無力化したとされている。パトリオットの在庫が底をつきようとしている中、ウクライナは、ロシアの「無敵」とされるキンジャルの衛星航法を妨害することで軌道をそらすという、待望の手段を開発した。
これらの動きを総合すると、米国とイランの対立という外部からの衝撃は、ロシアの経済状況を短期的に改善させた一方で、ウクライナの技術革新力や適応力、ロシアの新たな弱点を突く能力を加速させたことを示している。


