著名人
具体的なリーダーシップという点では、新たに統合されるラボのトップに就くジェームズ・ランデイの名前が目を引く。ランデイが数十年にわたり取り組んできたヒューマン・コンピュータ・インタラクションの研究は高く評価されている。さらに、ImageNetの創設により現代のコンピュータビジョンを切り開くなどの貢献で知られ、Stanford HAIでも指導的役割を担ってきたフェイフェイ・リーがいる。リーはジョン・ヘネシーとともに研究所の諮問評議会の共同議長を務めるほか、レヴィンのAI担当特別顧問としても活動する。
ここで少し気になった点がある。MITのコミュニティと比べるとスタンフォード内部のことには詳しくないのだが、ランデイが「デニング・ファミリー・ディレクター(寄付講座教授職)」と記載されており、一瞬、何か特殊な肩書きかと思った。
調べてみると、スティーブン・A・デニングはスタンフォードの主要な寄付者であり、ベンチャーキャピタリストで、同大学理事会の元議長だった。そこに由来するというわけだ。
ランデイは今回の統合について次のように語っている。
「この技術はあらゆるものを変えつつある。今この瞬間に真のインパクトを生むには、適応しなければならない。これは、AIが人々、コミュニティ、社会にどのような影響を与えるかを形づくることだ。私たちの行うすべての中核に、人間中心の視点を据える」
多分野連携の拠点
具体的な活用シーンは多岐にわたる。
新たなStanford HAIでは、参加者がMarloweや他のツールを用い、さまざまなタイプのプロジェクトで前進を促していく。たとえば自動運転車の技術を改善すること、新たなカリキュラムで歴史を生き生きと学べるようにすること、あるいは多様なサービス領域で地方の人々により良い形で提供する方法を見つけることなどだ。可能性は無限だ。
関連するStanford Reportのオンライン記事では、次のように説明されている。
「神経科学者は脳活動を予測するモデルを構築する。歴史学者はアーカイブ資料のコレクションに自然言語処理を適用し、社会がどのようにコミュニケーションしてきたかというパターンを浮かび上がらせる。そして教育研究者は、学習者一人ひとりに適応し、教室で教師を支援する個別指導システムを検証する」
これは膨大だ。しかも、2000年代に至るまで、こうした技術はSFのように聞こえていた。いま私たちは、AIを議論の場に迎え入れる余地を必死に確保しようとしており、スタンフォードの取り組みは、世界中で加速するAIパラダイムシフトの象徴的な動きといえる。


