スコットランドのスペイサイドで生まれるザ・マッカランが「シングルモルトの最高峰」と言われるには理由がある。琥珀の液体に秘められたこだわりとロマンを紐解くため、現地を訪れた。
その旅の中で感じたザ・マッカランの魅力を“12のコト”に凝縮。まずは前編をお送りする。
1.樽の素材選定から管理する、唯一無二のウイスキーブランド
ウイスキーを語るとき、樽の存在は欠かせないものだ。
「液体の色の100%、風味の80%が樽に依存していることから、樽の品質はウイスキーづくりにおいてとても重要です」
そう語るのは、ザ・マッカランの樽管理責任者であるアナ・アクーナさんだ。
現在、多くのブランドは製樽工場から完成した樽を購入するが、ザ・マッカランはなんと樽づくりの前段階である“木の選定”から自社で管理し、垂直統合でウイスキーづくりを行っている。樽に使われるのは、すべて最高品質のオーク材。
「色々なオークが利用可能ですが、私たちは主に『アメリカンオーク』と『ヨーロピアンオーク』の2つに絞っています」(アナさん、以下同)
アメリカンオークは、アメリカ東部のアパラチア盆地周辺の森林で育ったものを厳選。
「私たちは常に各地の木材をテストしていますが、ザ・マッカラン特有の風味を守るためには、現時点ではこの地で採れた木材がベストです。広大な土地に生息し、陽光をたっぷりと浴びているため、非常に背が高く、真っ直ぐに育ちます。ザ・マッカランのバニラを思わせる風味と、スムーズでメロウな味わいは、このアメリカンオークから来ています」
一方、スペイン北部で育ったヨーロピアンオークは、狭い土地で生き延びる生命力の強さを宿している。
「その結果、スパイシーな風味をもち、タンニンが多いのが特徴です」
共通しているのは直径60cm以上、平均樹齢70〜80年以上の樹木を厳選しているということ。
「若木はフレッシュですが、古木には熟した良さがあります。木の中心部は苦味が強いため、樽に使える部分がザ・マッカランが求めるフレーバーを蓄えるまで木の成長を待つ必要があるのです。人間で言うと『年の功』のようなものですね(笑)」
木の選定を担うのは、木材のプロであるアーボリスト。
「彼らは山や森林の見え方が違います。例えばドライブ中に、なんの変哲もない場所で『ここは数年前に山火事があったね』などと、通常調べなければわからないようなことも一目でわかるのです」
これらの木材は提携する3つの製材所に送られ、2〜6カ月ほど乾燥させてから、ステーブと呼ばれる樽板にカットされる。そして、さらに2〜6カ月ほど乾燥させ、樽の製造を行う3つの製樽工場へと送られるのだ。



