ボーズは2018年、心地よい睡眠をサポートするスマートデバイス「Bose noise-masking sleepbuds」を発売した。イヤホンのように耳に装着すると、小川のせせらぎや焚き火の音のような心地よいサウンドループが流れ、周囲の環境音をマスキングする製品だった。
当時は、同じスリープテックのカテゴリーに位置づけられるスマートデバイスがまだ少なく、市場認知の拡大も十分には進まなかった。その後、同製品は販売を終了している。それでも、サウンドを通じてデジタルヘルスの体験価値を高めるという発想にはボーズらしい独自性があった。今後、同社のパートナーシップ戦略を通じて、「サウンドのデジタルヘルス」とも呼べる領域でボーズならではのイノベーションに触れられる機会が広がることを期待したい。
日本市場への期待。変わり始めたボーズ
膨大なリサーチの蓄積から導き出されるボーズの知見は既存のオーディオという枠組みを超え、私たちのサウンドライフを再定義する可能性も秘めている。ハイダー氏はサウンドを通じてユーザーの暮らしに寄り添い、多様なかたちのウェルビーイングを提示し続けることを、これからもボーズの一員として探求したいと語る。
最後にハイダー氏は、日本市場に対してもポジティブな展望を示した。
「先日、4月にも日本を訪れる機会がありました。私は最近の日本経済には健全な成長の兆しを感じています。ボーズは今年、日本をはじめとする重点地域でのマーケティング活動への投資を大幅に強化する計画です。あらゆる製品カテゴリーにおいて、日本でのシェアをさらに拡大できると確信しています。そして何より、日本の皆さまがボーズというブランドに高い信頼を寄せてくださっていることに、いつも深く感謝しています」
筆者は前職でオーディオ・ビジュアル誌の編集者として、2000年以降から2010年代前半にかけて、ボーズの製品やサービス、キーパーソンを追いかけてきた。当時からボーズは独創的で魅力ある製品を数多く展開していたが、最先端の技術を積極的に採り入れるという点では、比較的コンサバティブな姿勢を保っていたように思う。
だからこそ、ハイダー氏がデルで培った経験をボーズの文化に持ち込んだことには大きな意味がある。これから同社の組織としてのスピード感はさらに高まり、ボーズはよりデジタル志向の強いテック企業へと変貌を遂げていくはずだ。筆者はその進化にとても期待している。
連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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