FAAは、モバイルバッテリーや携帯電話、電子たばこ、ノートPC、タブレットなど、リチウム電池を搭載した機器の過熱が原因で発生した機内事故の一覧を常に更新している。FAAのデータベースによると、旅客機で発生したモバイルバッテリーが原因とみられる事故は、今年に入り米国で10件確認されている。内訳は、デルタ航空(3件)、ユナイテッド航空(3件)、アメリカン航空(1件)、アレジアント航空(1件)、ホライゾン航空(1件)、ルフトハンザ航空(1件)だ。
大半は、乗客または乗務員が機内の煙で異変に気づき、機器が発火する前に対応している。だが、煙や火災のために、航空機が目的地を変更せざるを得ない場合もある。例えば、2月22日、米カンザス州ウィチタ発ワシントン州シアトル行きのホライゾン航空便が、離陸直後に乗客のモバイルバッテリーが発火したため、出発地に引き返すことを余儀なくされた。同月27日には、独ミュンヘン発米ロサンゼルス行きのルフトハンザ航空便が、乗客のモバイルバッテリーの発火により、米ユタ州ソルトレークシティーに目的地を変更した。
FAAの事故調査報告書は、「リチウム電池の普及は、航空機の安全にとって潜在的な危険要因だ」と指摘している。その理由として、「熱暴走と呼ばれる現象を引き起こす可能性」が挙げられている。熱暴走とは、温度と圧力が制御不能なほど急速に上昇し、可燃性ガスが放出される現象だ。
同局は機内でのモバイルバッテリーの使用を具体的に規制する新たな規則を導入していないが、こうした予備のリチウム電池は受託手荷物ではなく機内持ち込み手荷物として携行することを義務付けている。米運輸安全局(TSA)は、リチウム電池を搭載する機器に関する規則の執行を強化している。他方で、FAAは乗客が機内に持ち込める機器の数を制限しておらず、モバイルバッテリーを座席上の荷物棚に収納することを禁止しているわけでもない。世界的には、これらは制限されていることが一般的だ。


