宇宙

2026.05.03 13:00

冥王星はなぜ「惑星ではない」のか 天文学者が明かす除名の科学的根拠

冥王星のトゥルーカラー(人の目で見た感覚に近い色で表示した)合成画像。NASAの無人探査機ニュー・ホライズンズが2015年に約45万kmの距離から撮影した画像で作成(NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Southwest Research Institute)

冥王星のトゥルーカラー(人の目で見た感覚に近い色で表示した)合成画像。NASAの無人探査機ニュー・ホライズンズが2015年に約45万kmの距離から撮影した画像で作成(NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Southwest Research Institute)

冥王星がまたニュースになっている。NASA長官のジャレッド・アイザックマンが最近、冥王星を「惑星」から「準惑星」に降格した天文学界の決定を再考すべきではないかと提言したのだ。

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2006年に下されたこの決定を受け、悲嘆の声が数多く上がった。その中には多くの子どもたちの嘆き悲しむ声が含まれていた。太陽系の9惑星のことを学校で習ったばかりだったので、かわいい冥王星がひどい目に遭ったように感じたのだ。これでアイザックマンはいい人のように見えるし、私だって子どもを泣かせるようなことをしたいわけではない。それでも、なぜ冥王星が惑星クラブから除名されたかには、驚くべき科学的根拠がある。

すべては太陽系の残余物の問題

惑星がなくなったらそこが太陽系の果てだと考えられていたのは、ほんの数十年前のことだ。太陽系の内側には水星、金星、地球、火星といった「岩石」惑星があることが知られている。太陽系の外側には、巨大ガス惑星の木星、土星、天王星、海王星があることがわかっている。そして言うまでもなく、太陽が他の星と見分けがつかなくなるほどの太陽系のはるか彼方に、冥王星があった。誰もが学校で習ったように、太陽系を構成するのはこの9つの惑星だった。

しかしながら、そうではない。冥王星の向こうにはまだ続きがあり、これが重要なのだ。

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2006年1月に打ち上げられ、2015年7月に冥王星への最接近(フライバイ)観測に成功したNASAの無人探査機ニュー・ホライズンズの飛行経路(赤矢印)を示したイラスト。2019年1月にカイパーベルト天体のアロコス(2014 MU69)を観測した後、現在も太陽系外縁部に向けて飛行を続けている(NASA)
2006年1月に打ち上げられ、2015年7月に冥王星への最接近(フライバイ)観測に成功したNASAの無人探査機ニュー・ホライズンズの飛行経路(赤矢印)を示したイラスト。2019年1月にカイパーベルト天体のアロコス(2014 MU69)を観測した後、現在も太陽系外縁部に向けて飛行を続けている(NASA)


巨大氷惑星の海王星の先に広がる広大な暗闇の中に、たくさんの物質が存在している。目下の話題にとって最も重要なのは、海王星のすぐ先から海王星の軌道半径の2倍近くにまで及んでいる領域「エッジワース・カイパーベルト」だ。カイパーベルトは基本的に、太陽系の形成時に残された建設廃材の置き場となっている。つまり、惑星になり損ねた岩石や氷のかけらでできているわけだ。

カイパーベルトの詳細が明らかになってきたのは、ようやく1990年代に強力な望遠鏡を用いて暗いカイパーベルト天体(KBO)を全天で追跡調査し始めてからのことだ。これは画期的な出来事だった。太陽系(や太陽系外の恒星系)がどのようにして形成されるかを解明するには、カイパーベルトに潜んでいる天体を理解する必要がある。なぜならそれは原初の状態のままの、太陽系創成期の惑星物質だからだ。私たち人間は皆、この物質に起源を持っている。

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翻訳=河原稔

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