アブダビ国営石油会社(ADNOC)の最高経営責任者(CEO)を兼任するUAEのスルタン・ビン・アフマド・スルタン・ジャベル産業・先端技術相は次のように述べた。「UAEは、長期エネルギー戦略、真の生産能力、国益、そして国際エネルギー市場の安定性を踏まえ、主権に基づく決定を下した。ADNOCの重点は変わらない。石油、天然ガス、化学製品、再生可能エネルギーといった分野で、信頼性、責任感、発展への意欲をもって、世界中の買い手の増大する需要に応えることだ」
原油市場は今年半ばには一時的に供給過剰に陥るとみられていたが、米国とイランの対立が突如として事態を一変させた。市場が正常化すれば、UAEからの原油供給はさらに増えるだろう。
いずれにせよ、同国は既にホルムズ海峡を迂回(うかい)するパイプラインを有しており、増設するとみられている。この動きは、ドナルド・トランプ米大統領がOPEC加盟国に対し、増産によって原油価格を引き下げるよう呼びかけていることから、米国とUAEの関係を強化することにもつながると予想される。
今やUAEはOPECの制約を受けることなく、増産を実行できる立場にある。したがって、あらゆる点でOPEC脱退の決定はUAEにとって理にかなっており、全く予期せぬことではなかった。
他方で、UAEの脱退は、OPECと事実上の主導者であるサウジアラビアにとっては頭痛の種となる。OPECを代表する産油国は、同機構の内部政治と弱まりつつある影響力の双方を管理せざるを得なくなるだろう。
OPECは今後どうなるのか?
OPECは現在、世界の原油取引量の50%、生産量の35%を占めている。UAEが脱退したことで、同機構の生産能力の10~15%が失われることになる。
今回の混乱がOPECの終焉(しゅうえん)を意味するわけではないとしても、今後さらに多くの加盟国が脱退する可能性も否定できない。サウジアラビアも、石油市場での占有率の拡大を図るため、自国が保有する膨大な余剰生産能力を全面的に投入するかもしれない。
UAEの脱退がどのような展開をもたらすのか、サウジアラビアがどのような選択をするのか、そしてOPECが今後どのような方向に向かうのかは、石油市場の正常化とともに明らかになるだろう。だが、今回の事態の重大さと、それが最終的に及ぼす影響は、決して過小評価してはならない。


