テヘランにいるCIA工作員でイランの専門家でもあるボブ・バーンズ(ジョージ・クルーニー)は、アメリカの高性能ミサイルを横流しする名目で近づいた、テロリストと目されるイラン人兄弟を爆殺する任務の中で、謎のエジプト人にミサイルの一つを強奪される。CIA本部長は帰国したボブを難詰し、穴埋めとして工作員ムサウィと組みシリアナの皇太子で外相のナシールを暗殺するよう命じる。アハメド王の長男であるナシールは反米派でテロ組織に資金提供しているという疑いを持つCIAの背後には、「イラン自由化委員会」なるものがあり、石油利権で動いている。
ボブは、レバノンのベイルートで勢力を伸ばし、イランのシーア派とも通じているヒズボラ周辺に潜伏するムサウィに会うが、裏切ったムサウィにより激しい拷問を受け、ヒズボラの長老の助け舟で一命を取り留める。一方、ナシール暗殺に失敗したCIAはボブをすべての任務から外し、直属の上司にも冷たくあしらわれて四面楚歌の一匹狼となった彼は、一連の黒幕である大手弁護士事務所代表のホワイティングに恫喝をかける。
ワシントンD.C.では、弁護士事務所の職員ベネット・ホリディ(ジェフリー・ライト)が事務所代表のホワイティングからある命を受ける。テキサス・ヒューストンの大手石油会社コネックス社は、ペルシャ湾での天然ガスの採掘権を中国に奪われないために、カザフスタンの未開発の油田の採掘権を得たキリーン社と合併することになっているが、正式な承認が降りていない。賄賂があったと確信している司法省より先に不正の証拠を見つけて報告するのが、ベネットの仕事だ。
ホワイティングは「イラン自由化委員会」の一員でCIAや親米のアラブ富豪ともコネクションを持つ影の大物。調査で発見した証拠で誰を切るか、トカゲの尻尾をいくつ切れば承認が降りるのかという”落とし所”をめぐる神経戦に、司法省高官やキリール社社長も加わり、不正に加担することになると薄々知りつつも、ベネットは高報酬と出世のために任務を遂行していく。
ジュネーブの金融会社勤務でTV出演しているエネルギーアナリストのブライアン・ウッドマン(マット・デイモン)は、スペインのマルベラにあるアハメド王の別荘でのパーティに招待される。家族連れの和やかなパーティと言えどもそこは明らかに政治の場で、さっそくアハメド王の次男で兄ナシールと対立しているメシャールが近づいてくる。
しかしパーティの最中にブライアンの長男がプールで感電死するという不幸な事故が起こってしまう(このシーンの前には、「プールのライトが一つ点かない」とメシャールがリモコンを乱暴に操作して放り出し、プールの底で漏電しているショットが挟まれるので、ブライアンの息子は間接的にメシャールに殺されたことになる)。
ナシール皇太子はブライアンに莫大なお悔やみ金額を提示すると共に、自分の相談役になってほしいと依頼。国家の民主的な改革を自らの手で断行し、正しい石油取引を取り戻し、アラブ諸国の独自性を尊重するというナシールの義侠心と理念にブライアンは感銘を受け、同時に個人的な野心も頭をもたげるが、「死んだ息子で金儲けを?」と問う妻との間に溝ができる。
コネックス社に雇われ、ペルシャ湾の油田採掘労働者として出稼ぎに来ているパキスタンの青年ワシーム・カーンは、社の合併事業に伴い父や他の仲間たちと共に解雇され、母を呼び寄せ親子で暮らすというささやかな夢を絶たれてしまい、職安の列では理不尽な暴力を受ける。
やがて宿舎の仲間の一人からイスラム神学校の噂を聞き、興味を持ったワシームはそこに通ってイスラム原理主義と反・欧米思想を教育されるうち、親身になってくれるエジプト人にアメリカ製の高性能ミサイルを見せられ、自分が”選ばれた者”だと知る。イスラム神学校とはもちろん、テロリスト養成学校である。


