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2026.04.27 15:00

巧妙化するAI詐欺、「5つの手口と見破り方」──被害に遭った場合の対処法も解説

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人工知能(AI)革命がもたらした残念な副作用の1つが、AI詐欺の容赦ない急増である。直近の集計年である2025年、米連邦捜査局(FBI)のIC3(インターネット犯罪苦情センター)には、AI詐欺に関する苦情が2万2000件超寄せられ、調整後の損失額は8億9300万ドルを上回った。

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この数字は過小評価である可能性がある。AI詐欺は報告されないことがあまりに多いからだ。「詐欺師は恥の感情を武器にする。あなたが恥ずかしくて話せないと思い込んでいるのだ」と、SANS Instituteの最高AI責任者(CAIO)兼リサーチ責任者であるロブ・T・リーは語る。「訓練を受けたサイバーセキュリティの専門家でさえ、AI生成の詐欺に引っかかっている。だまされたのはあなたがだまされやすいからではない。AIが自分の仕事をうまくやったからだ」。

よくあるAI生成詐欺

AIツールが遍在する現在、詐欺、金融犯罪、恐喝、同意のない性的画像の生成に悪用され得るコンテンツの可能性は無限であり、しかも絶えず進化している。「国際AI安全性レポート2026」によれば、「多くのツールは無料または低コストで、技術的な専門知識を必要とせず、匿名で利用できる」。一方で同レポートの著者は、現時点では「その蔓延度と深刻度に関するデータは依然として限定的だ」と指摘する。

特に一般的で、かつ悪質なAI詐欺には、被害者に「知人とやり取りしている」と思い込ませる「信用詐欺」や「ロマンス詐欺」、資金や個人の口座情報を差し出すよう誘導する銀行・投資詐欺、SNSから未成年や若年層の画像を引き抜いて悪用するセクストーション(性的脅迫)、偽の求人情報や、ディープフェイク面接まで含む雇用詐欺がある。

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こうした詐欺の標的は誰にでもなり得るが、多くは属性に沿って手口が分かれ、異なる人々を異なる形で狙う。高齢者や独居者は信用詐欺や投資詐欺に脆弱で、10代や若年層はセクストーションの標的になりやすい。中年層は、認証情報の窃取(クレデンシャルハーベスティング)、請求書詐欺、フィッシングの手口で狙われやすい。

(1)信用詐欺/ロマンス詐欺

信用詐欺やロマンス詐欺では、詐欺師が偽の人格を作り上げ、プロフィールや台本にひも付いた音声クローニングを用いて、家族や知人からのリアルな電話のように聞こえさせることが多い。電話口の声は切迫感を演出し、今すぐ金銭的支援が必要だと訴える。

2023年に報告されたある事例では、母親が「電話を取ると、15歳の娘がすすり泣く声が聞こえ、男が身代金を要求した」と、リーは述べた。「SNSの音声を数秒分集めて作られたAI音声クローンだ。娘はスキー旅行中で無事だった」。

こうした電話はストレスを伴うが、意識的に確認することが、被害の拡大を防ぐ最善の手段である。

「別の手段で発信者を確認するか、その人にしか答えられない質問をすることだ」と、バージニア工科大学のコンピュータサイエンス教授ムラト・カンタルジオウルは語る。「本人にしか答えられない質問をする、あるいは同じ情報をSMS(ショートメッセージ)や別の信頼できる方法で送るよう求めるとよい」。

(2)銀行・投資詐欺

米国の場合、消費者は銀行からの電話を受けることが増えている。そのため、発信元番号を偽装して、銀行からの電話に見せかけるケースがある。AIを使えば、詐欺師は「悪意あるリンクをクリックさせたり、機微情報を共有させたりするための、ほぼ完璧なメッセージを作れる」と、チェース銀行で消費者詐欺・詐欺防止を統括するダリウス・キングスリーは言う。「一見無害に見える、身に覚えのない『誤送信』メッセージは、多くの場合そうではない。返信させ、会話を始めさせるために設計されているのだ」。

もう1つの金融詐欺に「ピッグ・ブッチャリング(豚の屠殺)」がある。偽の取引や暗号資産投資の機会に誘い込み、被害者を投資へと導く手口だ。「特に危険なのは、その展開の仕方にある」と、Forterのリスク担当シニアディレクターであるダニー・ナイゲボレンは語る。「被害者は最初、真の関係に思えるものに引き込まれる。多くは単純なテキストメッセージから始まる。一般的なAIツールによって、詐欺師はこのアプローチを大規模化しやすくなった。実績ある台本に沿った、友好的で会話調、極めて説得力のあるやり取りを大量に生み出し、時間をかけて信頼を築いた後に金融詐欺へ持ち込めるからだ」。

こうした詐欺を避けるためには、金融機関にただちに電話で連絡し、パスワードを変更することだ。取引明細や取引履歴も定期的に確認したい。

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