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2026.04.28 20:30

ゴルフ人口4810万人の米国で進む再編、PE大手が北米最大級のクラブ運営企業を4134億円で買収へ

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2010年以降の積極買収後にブランドの威信が低下、BigShots事業も失敗に

Invitedの公式サイトによると、同社は2010年以降に36カ所超のクラブを買収してきた。なかでも目立つのが、TPC Craig Ranchを含むToll Brothersのカントリークラブ部門の7物件を取得した2019年の買収だ。ただし、デッドマン家がClubCorpを売却してからの約20年で、人員やコース整備のコスト削減が進み、ブランドの威信は損なわれた──業界関係者の間ではそうした見方も出ている。

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ClubCorpは2018年、娯楽施設や屋内ゴルフシミュレーターを運営していたBigShots Golfの支配権を取得し、TopgolfやDrive Shackに対抗する構想に多額の資金を投じた。しかし、この試みは失敗に終わった。Topgolf Callawayは2023年、フランチャイズ3施設を含むBigShotsの4施設を2900万ドル(約46億円)で買収した。同社のCEOのチップ・ブリューワーはプレスリリースで、この額について「Topgolfの1施設分におおむね相当する価格だ」と述べていた。

2022年に現在のInvitedに社名を変更

ClubCorpは2022年にInvitedへと社名を変更した。同社は、この変更について、「ブランドをより親しみやすく、もてなしの印象が強いものにする狙いがあった」と説明している。だが、このリブランディングにも業界のベテランは首をかしげた。ジョエル・ペイジは、「ClubCorpという名前に戻したほうがいい。彼らが築いてきたブランド認知を手放したのは誤りだった」と述べている。ペイジは、25のクラブとリゾートを保有するEscalante Golfでリゾート部門のシニアバイスプレジデントを務める人物だ。

Invitedは、2022年9月にマサチューセッツ州ボイルストンのHaven Country Clubを買収して以降、新たなコースを取得していない。一方で、テキサス州のWoodlands Country ClubをArcis Golfに売却した2025年の取引を含め、複数の注目物件を手放してきた。同社は、アポロが売却に向けた準備を進める中、財務体質を強化するため、2024年初めに3360万ドル(約53億円)相当の債務を圧縮した。

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EBITDA約557億円に対し評価倍率は8倍にとどまり、成長期待は限定的

KSLのメールによると、Invitedは2025年、約3億5000万ドル(約557億円)のEBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)を計上した。ただ、新たな取引価値26億ドル(約4134億円)に対して8倍の評価倍率にとどまっていることは、同社の成長余地に対する見方がさほど強気ではないことを示している。

同社は今後、Heritageとの事業統合にも対応しなければならない。ある業界関係者は、その過程でさらなるコスト削減や人員削減が進むことを懸念している。また、この取引に直接関わっていない別の業界関係者は、Heritageのほうがより機動力のある事業会社だと評価する。両ブランドが統合されれば、Heritage側の経営手法が前面に出るとの見方だ。Heritageを率いるマーク・バーネットCEOは、2018年にアポロによる買収を受けて退社するまで、11年間にわたりClubCorpの社長兼最高執行責任者(COO)を務めていた。

一方で、どの運営会社にとっても、プライベートクラブの経営は簡単ではない。一方で、どの運営会社にとっても、プライベートクラブの経営は簡単ではない。もともと利幅の薄い事業であるうえ、コースを良好な状態に保つための肥料や機械のコストが上昇しており、レストランの料理長から芝管理の専門家まで、多くの人材も確保しなければならない。会員の維持や新規獲得のために、フィットネスセンターやピックルボール用コートなどの施設拡充も迫られている。

Escalanteのペイジ、KSL傘下での再成長により強気な見方を示す

ただ、Escalanteのペイジは、再びKSLの傘下に入るInvitedの今後の展開について、より強気な見方を示している。「KSLは、少し利益を引き出してすぐに売却するためだけに、今回の買収に踏み切ったわけではない」と彼は話す。「統合を進めるのか、規模の拡大を図るのか、あるいは会社にテクノロジーを取り入れるのかはともかく、彼らには明確な構想がある。運営能力は非常に高い」。

KSLは、レジャー事業を成長させてきた実績を持つ。たとえば2017年から保有する投資先のAlterra Mountain Companyは、SteamboatやDeer Valleyを含む19のスキーリゾートを展開している。KSLは運用するファンドの大半で年率2桁の純リターンを上げてきた。こうした実績から、業界関係者の間では、Invitedの再取得も投資家にとって新たな成功案件になると見る向きが強い。とりわけ取得価格が妥当な水準に収まっていることが、その見方を後押ししている。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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