米国のゴルフ人口は4810万人に拡大、コロナ禍以降も増加が続く
この取引の背景には、ゴルフ人気の拡大がある。新型コロナのパンデミック以降、数百万人もの米国人が新たな屋外レジャーを求めてゴルフに殺到した。その後も柔軟な働き方が定着し、ゴルフを始めるプレイヤーは年ごとに増加している。米ゴルフ業界を調査する業界団体National Golf Foundationによれば、2025年何らかの形でゴルフを楽しんだ人の数は、4810万人に達した。このうち2920万人が従来型のコースでプレーし、1890万人はアミューズメント施設の「Topgolf」や屋内シミュレーターなどのコース外の施設だけでプレーしていた。
この数字は、2024年の総プレーヤー数4720万人と、コースでのプレー人口2810万人を上回った。2019年はそれぞれ3420万人と2430万人だった。
KSL傘下のHeritage Golf Groupも、この追い風を取り込んできた。同社の保有コース数は、2020年に非公表の金額で買収された当時に6コースだったが、現在ではその約8倍に増えている。主に米南東部と中部大西洋岸地域でクラブを保有するHeritageは、全米有数のゴルフ場運営会社の一つに数えられる。同業には、60超のクラブを展開するArcis Golfや、39クラブを保有するConcert Golfがある。事情に詳しい関係者によると、Concert Golfは2025年11月、負債を含め14億ドル(約2226億円)でベインキャピタルに買収された。
全米最大級のクラブ運営会社Invited
米国には合計1万6000カ所のゴルフコースがあるが、その約4分の1がプライベートクラブとされている。その中で、ダラスに拠点を置くInvitedほど多くのプライベートクラブを抱える運営会社は他にない。ただし同社は、コロナ禍以降はそれほど積極的な買収姿勢を見せていない。最後にコースを取得したのは2022年で、その後は負債の削減を進めるとともに、過去の失敗案件を整理するため、資産売却を優先してきた。
Invitedの前身であるClubCorpは、1957年にロバート・デッドマン・シニアによって創業され、同年にテキサス州ファーマーズブランチでBrookhaven Country Clubの建設に着手した。ClubCorpはその後、プライベートクラブを買収して営利事業として束ねる手法をいち早く確立し、1984年には、同社を象徴する資産となるノースカロライナ州の名門Pinehurst Resortを買収した。
KSLは2006年、デッドマン家が半世紀にわたって保有したClubCorpの資産の大半を、負債を含め18億ドル(約2862億円)で買収した。一方、デッドマン家はPinehurstを手元に残し、現在も保有を続けている。KSLはその後、2008年の金融危機の中でClubCorpの経営を支えつつ、2013年9月のIPOまでクラブ数を増やし続けた。ClubCorpは、このIPOで2億5200万ドル(約401億円)を調達し、同社の株式価値は8億8000万ドル(約1399億円)となった。KSLは過半数株式を維持したが、その後4年かけて持ち分を徐々に売却した。
しかし、上場後の株価は伸び悩み、最終的にアポロが同社を再び非上場化した。買収時の株式価値は11億ドル(約1749億円)で、IPO価格を基準にすると株主のリターンは22%だった。アポロは、これに加えて11億ドル(約1749億円)の負債も引き受け、企業価値は22億ドル(約3498億円)となった。KSLがこの投資で最終的にどれほどの利益を上げたのかは明らかではないが、同社にとっては一定の成果を上げた投資だったと見られている。


