海外

2026.04.25 17:00

AIデータセンターの「物理的防護」で24兆円市場、ドローン攻撃が呼ぶ新たな商機

2026年4月7日、イランのテヘランで、軍事作戦が続く中、4月6日に攻撃を受けたシャリフ工科大学のデータセンター(Photo by Morteza Nikoubazl/NurPhoto via Getty Images)

対ドローン防御の本格化と、湾岸地域への投資の行方

データセンターのセキュリティは、これまで主に地上からの脅威への対応を中心に組み立てられてきた。ベキスは、「とりわけ米国では、ドローンのような攻撃を阻止するのはかなり難しい」と話す。マクランは、中東では脅威がより差し迫っているため、ドローンの妨害や迎撃といった物理的な対抗手段を民間企業が使うことについて、規制当局の姿勢も比較的前向きだと付け加える(米国では、そうした対応を行えるのは一部の政府機関に限られる)。

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だが、中東での紛争とAWSへの攻撃をきっかけに、その状況は変わりつつある。現在、関係者の視線は空にも向かい始めた。ある投資家はフォーブスに対し、多くの防衛企業が、空からの脅威に対応する地上配備型の迎撃システムを開発しており、今後はデータセンター企業との提携を模索すると語った。

また、スローンによると、関心は急速に高まっているという。彼は、「誰もが、今後はドローンに対処しなければならないと分かっている」と述べ、この状況が米国のデータセンターにとって「現在進行形であり、将来にも続く課題」だと表現した。彼によれば、IronSiteはドローンを「撃ち落とせる」可能性があるセンサーの試験運用を初めて開始している。

こうした変化は、成長に向けて有利な立場にあるDedroneやDroneShield、Sentrycsといった対ドローン防御企業の追い風になりそうだ。DedroneはAxonが2024年に5億ドル(約790億円)の評価額で買収した企業で、DroneShieldの時価総額はここ1年でほぼ4倍に拡大した。Sentrycsも昨年11月にOndasに買収された。複数の対ドローン企業にレーダーを供給するEchodyneの売上高も、この1年で2倍超に伸びた。

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DroneShieldで公共安全部門ディレクターを務めるトム・アダムズと、Echodyneのフランケンバーグは、いずれもイランによるAWSへの攻撃を受けて、米国と中東のデータセンター運営会社から対ドローン対策に関する問い合わせを直接受けたと話す。アダムズは、価値の高いインフラを抱える企業にとって、ドローン防衛は今や必須装備になり始めていると考えている。サイバーセキュリティ用ソフトと同じように、標準的な予算項目になりつつあるということだ。

フランケンバーグは、「中東のAWS施設で起きたことを受けて不安が強まっているが、それに加えて、ドローン全般に対する懸念も広がっている」と語る。

中東投資への慎重論と、保険コストへのリスク織り込み

中東での紛争が長引けば、マイクロソフトやアマゾンなどハイパースケーラーがこの地域への追加のデータセンター投資に慎重になるのではないか。AIインフラに携わる一部の関係者は、そう懸念している。だが、業界の別の関係者はフォーブスに対し、湾岸地域で進むデータセンタープロジェクトの中止や、追加投資をためらうような動きはまだ確認していないと語った。

もっとも、誰もがリスクを意識している。そのリスクはすでに、データセンターの防衛コストだけでなく、保険コストにも織り込まれ始めている。ドバイとロンドンを拠点とするAIインフラのスタートアップ1001の創業者、ビラル・アブガザーレは、この地域では運用効率を重視する姿勢から、リスク管理と防衛を重視する姿勢へと「意識の転換」が起きていると話す。「どう守るのか。どう備えるのか。リスクをめぐって何が起きているのかを、どう把握するのか。そうした発想に変わってきている」と彼は続けた。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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