海外

2026.04.25 17:00

AIデータセンターの「物理的防護」で24兆円市場、ドローン攻撃が呼ぶ新たな商機

2026年4月7日、イランのテヘランで、軍事作戦が続く中、4月6日に攻撃を受けたシャリフ工科大学のデータセンター(Photo by Morteza Nikoubazl/NurPhoto via Getty Images)

警備市場の急拡大と、最大約23.7兆円規模との試算

計算能力を1カ所に集中させればさせるほど、運用と防衛にかかるコストは膨らむ。とりわけ、戦闘地域に近い拠点では、その傾向はいっそう強まる。AIデータセンターが地元の電力網に負荷をかけ、電気料金を押し上げるのではないかという懸念が住民の反発を招いている地域でも同様だ。一方で、そうした状況は関連企業にとっては追い風でもある。

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セキュリティ企業IronSiteで戦略的提携部門のバイスプレジデントを務めるコリン・スローンは、この状況は、5年前には停滞気味に見えた業界にとって、第2の追い風になっていると話す。データセンター側は、より高度な防護体制を求めている。高度な防護には高い費用がかかる。コンサルティング会社Guidepost Solutionsでデータセンター・重要インフラ部門のバイスプレジデントを務めるジョン・ベキスによると、その費用は建設コストの最大5%に達することもある。

世界各地でデータセンターを開発するJLLは昨年、データセンターのシェル部分、つまり土地、電力、建物本体のコスト(GPUは含まない)について、1メガワット当たりおおむね1200万ドル(約19億円)になるとの見通しを示した。一方、OpenAIのサム・アルトマンは、今後8年で実に250ギガワットの電力が必要になるとの考えを示しており、これを前提に単純計算すれば、データセンター関連のセキュリティ市場は最大1500億ドル(約23.7兆円)規模になり得る。

入退室管理から対ドローンまで、参入の余地が広がる

これは、入退室管理や監視システム、各種センサー、防護壁、脅威対応といった分野だけでも数十億ドル(数千億円)規模の潜在市場があることを意味する。しかも、そこにはドローン対策の需要はまだ含まれていない。比較的小規模な施設でも、防御の強化だけで巨額の費用がかかり得る。スローンによれば、フェンスや守衛所、車両侵入防止バリアなどの対策には500万〜2000万ドル(約7億9000万円〜約32億円)がかかる場合があるという。なお、IronSiteの顧客にはアマゾンも含まれる。

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元DroneShieldのマクランと、センサーメーカーEchodyneのCEOを務めるエベン・フランケンバーグは、対ドローン防御システムのコストは数十万ドル(数千万円)台から数百万ドル(数億円)台前半まで幅があり、施設の規模や重要性に応じて高くなると話す。データセンター向けのカメラや物理セキュリティソフトを手がけるVerkadaの昨年の売上高は、10億ドル(約1580億円)を超えた。同社のフィリップ・カリシャンCEOによると、データセンターは同社にとって「新たな需要源」になっているという。

この流れの恩恵を受けるのは、HoneywellやAllied Universal、Control Risksといった既存大手だけではない。この分野に参入してきた新興企業群にも追い風になる可能性がある。データセンターやその他の重要インフラの防護を手がけるある企業の創業者は、「需要はすごい勢いで伸びている。我々の会社がステルス状態から脱して表に出たとしても、とてもさばき切れないだろう」と語った。すでに発電所や石油化学施設、空港の防護要請が増えている対ドローン防御企業にとっても、需要拡大の余地は大きい。

この市場にはまだ新規参入の余地が十分にある。ベキスは「顧客によっては、当社が唯一のセキュリティ設計会社ではない」と語る。「率直に言って、仕事は十分すぎるほどある。だから我々は協力して進める必要がある。この分野の担い手は、まだ多くない」と彼は続けた。

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翻訳=上田裕資

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