海外

2026.04.25 17:00

AIデータセンターの「物理的防護」で24兆円市場、ドローン攻撃が呼ぶ新たな商機

2026年4月7日、イランのテヘランで、軍事作戦が続く中、4月6日に攻撃を受けたシャリフ工科大学のデータセンター(Photo by Morteza Nikoubazl/NurPhoto via Getty Images)

AWS中東拠点を襲ったドローン攻撃で、業界の認識が転換

3月上旬には、バーレーンとアラブ首長国連邦(UAE)にあるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のデータセンターが、ドローン攻撃によって損傷した。サービスには大きな障害が生じ、多額の損失も発生した。1カ月以上が過ぎた後も、AWSのダッシュボードには、被害を受けた地域で一部のサービスがなお「障害中」と表示されていた(一部はその後に復旧した)。英テックメディアのThe Registerによると、アマゾンは影響を受けた利用者に3月分のクレジットを返金しており、その負担額は推定1億5000万ドル(約237億円。1ドル=158円換算)に上るという。

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データセンターには通常、幅広い保険がかけられているものの、そのほとんどは軍事衝突による損害を補償の対象外としていると、保険仲介大手ギャラガーでデータセンター部門を率いるトム・ハーパーは話す。「一般的な保険契約では、戦争は免責事項になっている。つまり、実際に戦争状態にあるなら補償は受けられない」と彼は語る。

また、脅威は爆発物を搭載したドローンだけではない。無線ネットワークを探り、データセンターの敷地配置・建屋配置を把握して弱点を探す「滞空型」のドローンもある。総じて言えるのは、米国のテック企業がこうした高価で計算能力が高度に集中した設備を建設すれば、それ自体が戦時の格好の標的になり得るということだ。そして、その混乱の影響は、たとえ米国本土で何も起きていなくても、爆発が起きた現場の周辺をはるかに超えて広がり得る。

イラン革命防衛隊が4月上旬に公表した標的リストには、マイクロソフト、オラクル、アマゾンの施設も含まれていた。そのリストは、OpenAI、オラクル、ソフトバンク、湾岸地域の投資会社G42などが出資する300億ドル(約4.74兆円)超の合弁事業「スターゲートUAE」にも脅しをかけたように見えた。スターゲートUAEは、トランプ大統領が昨年ホワイトハウスで発表を後押しした計画だ。

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AWSのマット・ガーマンCEOはフォーブスに対し、世界各地で国家間の衝突が激しさを増すなか、業界全体がクラウドの安全対策を「見直しつつある」と語った。「世界は、ウクライナ戦争が始まるまでの長い間、国家同士の大きな衝突があまり起きない時期を過ごしてきた。だが今は、そうした状況が再び強まりつつある」と彼は語った。

民間のデータセンター運営会社やセキュリティベンダーらの対応の方向性ははっきりしている。物理的な警備を大幅に強化し、ドローンを検知し、抑止し、そして規制で認められている地域では、撃墜するための手段を増やすことだ。なお、米国では現時点でそうした撃墜は認められていない。

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翻訳=上田裕資

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