食&酒

2026.05.19 14:15

アマチュア賢人のワイン注文「ゆるい極意」、ワインリストとソムリエはこう使う

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正解は「任せること」にある

いよいよソムリエとの対話に入ります。準備が整ったことをアイコンタクトで伝えましょう。ここで「すみませーん!」と声を張り上げるのは野暮というもの。視線を送るだけで、彼らはすぐに察して歩み寄ってくれます。ソムリエがテーブルに来たら、「今夜は合計〇本飲みたい。ワインにかける予算は総額で〇万円。料理に合うように提案してほしい」。こう伝えるだけで100点満点です。不動産屋で希望条件を伝えるときと同じテンションで構いません。もし接待やデートで連れに予算を知られたくない場合は、ワインリストにある特定の価格を指差して「これくらいのでお願いします」と言えば、ソムリエは全てを察してくれます。

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「それだと自分で選んでいないじゃないか! いい加減な記事だ!」と憤りを感じる読者もいるかもしれませんが、私がなぜここまでソムリエに下駄を預けることを勧めるのか。その理由は、提供される料理の具体的な内容と、そのお店のワインの在庫状況がゲストにはわからない、という点に尽きます。

フランス料理の場合、一般的には軽い前菜から始まり、重めの前菜、魚介類、メインの肉料理へと進んでいきますが、すべての店がその定石通りとは限りません。冷前菜に馬肉のタルタル(ユッケみたいなやつ)が出てくることもあれば、温前菜でフォアグラのような重量級が登場する場合もある。魚の前に豚肉が出たり、メインが思いのほか軽やかな鶏肉だったりすることもあります。たとえ食材名が書かれたお品書きが提示されてあったとしても、同じマグロでも赤身かトロかで合うワインは変わりますし、調理法やソース次第で選ぶべき方向性は様々です。ゲストがメニューとにらめっこしてベストな1本を選ぶのは至難の業と言えるでしょう。だからこそ、シェフの料理を知悉し、店の在庫を把握しているソムリエに委ねるのが一番なのです。

とはいえ、その予算と本数ではどこかで妥協が必要、という局面もあるでしょう。しかし、プロは手持ちの材料から最善の提案を繰り出してくれます。「乾杯はグラスのスパークリングワインにして、前菜からは重めの白をボトルで通しましょう。メインもその白で OK です」「2皿目に鰻の赤ワインソースが出るので、そこだけ赤をグラスでいかがでしょうか」「それならいっそペアリングで任せてください」といった具合に、彼らは提示された条件の中で、考え得る限りの解を導き出してくれるはずです。

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文=タケマシュラン 編集=石井節子

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