食&酒

2026.05.19 14:15

アマチュア賢人のワイン注文「ゆるい極意」、ワインリストとソムリエはこう使う

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もちろん、人手が足りずに忙殺されている店や、意識の低いアルバイト等であれば、単に面倒な仕事が増えたと思うだけかもしれません。しかし、多くのソムリエは単なる酒を注ぐ作業者ではなく、料理とワインの架け橋でありたいと願っています。「我々は今日の食卓を能動的に楽しむ用意がある」という意思表示をするゲストに対し、まともなソムリエなら「よし、このテーブルはしっかりエスコートしよう」と気合が入るものです。逆に、レストランのサービスマンにとって虚しいのは、ゲストの無関心に直面することです。これは接待や会食の席で、会話に夢中になるあまりワインがただの作業として扱われる際によく生じる悲劇です。

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さて、ワインリストを開いてみたものの、中身はチンプンカンプン。それで構いません。馴染みの無いアルファベットの羅列で何が何だかわからないのが普通であり、付け焼き刃の知識でどうにかなるものではありません。厳しいようですが、本稿を熱心に読み込んでいる段階の読者が、ワインリストを自力で読みこなすのはまず無理だとお考えください。もちろん日本人の 99.9%は同じ状況ですから、全く恥じる必要はありません。むしろ、その解読のためにソムリエという専門職が存在しているのですから、彼らを上手に頼ることこそがワインを楽しむための最短ルートと言えるでしょう。

ワイン選びは“相場感”で決まる

それでは、そんな我々はどうワインリストに向き合うべきか。見慣れない産地名や造り手の名前をひとつひとつ解読しようとするのは早々に諦め、まずは、そのワインリストの最安値と最多価格帯をざっと把握することに専念してください。

2026 年現在の日本における標準的な相場感では、コース料金が 1~2万円程度のレストランであれば、リストの最安値は1万円を少し切るくらいでしょうか。最多価格帯は1.5万円前後であることが多い、というのが私の実感です。もちろん、これは絶対のルールではありません。気のいいオヤジさんが個人で営む店なら2~3割安かったり、逆にラグジュアリーホテルや格式高い名店ともなれば、ここから2~3割は跳ね上がったりします。なお、最高値については文字通りの青天井です。中には遊び心(あるいはギャグ)で天文学的な値を付けている店もありますから、凄い世界もあるものだなあ、と遠巻きに眺めておくだけで充分です。

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さて、ワインリストの価格帯を把握したところで、もし自分の予算感と著しく乖離していたとしたら、それはお店のせいではなく貴方の予習不足です。今の時代、ネットの情報をざっと洗えば、その店で必要な酒代の相場は事前に掴めたはず。この絶望的なミスマッチに気づいたなら、無理にボトルで注文する必要はありません。まずはグラスのスパークリングワインやビールを1杯。あとは酒に弱いフリでも決め込んで、ひたすら炭酸水で繋ぎましょう。そしてメインの肉料理に合わせて、赤のグラスワインを1杯だけ注文する。このスタイルを貫けば、たとえどんな高級店であっても、飲み物代は1万円程度に抑まります。是非はさておき、予算オーバーで青ざめながら食事をするよりは、遥かにマシな過ごし方と言えるでしょう。

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文=タケマシュラン 編集=石井節子

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