米国防総省は、ドローン(無人機)攻撃を検知・識別・無効化する技術(カウンタードローン技術)を米軍の全軍種と連邦機関に提供するために同省が新設したオンラインマーケットプレイスで、総額1300万ドル(約21億円。1ドル=159円換算)の初回取引が完了したと発表した。
今年2月に開設されたばかりの同マーケットプレイスで初めて取引が成立した品目は、センサーシステム、レーダーシステム、電子戦システム、高機動ドローン迎撃機など。今回調達された対ドローン装備は、米中央軍(CENTCOM)、南部国境統合任務部隊(JTF-SB)、米国各地の施設防衛担当部隊に配備されるという。
このマーケットプレイスは米陸軍主導の「合同省庁間タスクフォース401」が中心となって推進している取り組みで、無人航空機システム(UAS)に対する国家防衛において調整役となることを使命としている。承認を受けたベンダーに対して、一元化されたデジタルプラットフォーム上で政府機関が即座に技術を発注できるようにすることで、対ドローン防衛装備の調達プロセスを簡素化するのが目的だ。
「顧客(米軍や連邦機関)はプラットフォーム上で性能データを確認し、システムを比較し、実地試験の結果や検証済みの機能を把握した上で、情報に基づいた意思決定を行うことができる」と、同タスクフォースの調達担当主任であるマット・メラー米陸軍少佐は述べている。
拡大するドローン撃墜技術への投資
この新しいインターフェースプラットフォームは、米軍と連邦法執行機関が同じ技術を調達してドローンの悪用に対する防御体制を構築・撃墜できるようにすることで、両者の対応能力の格差を埋めるものだ。
米軍の各部門や法執行機関の間でドローン撃墜技術を共有する必要性は、無人航空機システムの拡散によって引き起こされる軍事的課題や公共の安全に対する懸念の高まりを反映している。
国防総省の発表によると、合同省庁間タスクフォース401はこれまでに対ドローン防衛技術に6億ドル(約960億円)以上を投資しており、その内訳には、今夏北米で開催されるサッカーFIFAワールドカップ2026の期間中に全米11都市に配備される移動式対ドローンシステムにかかる1億ドル(約160億円)や、重要インフラ保護のための1億5800万ドル(約250億円)が含まれる。
また、中東で展開中の「エピック・フューリー(壮絶な怒り)作戦」でイランとの戦闘における対ドローン戦を支援するため、3億5000万ドル(約560億円)の追加投資も行われた。これは特に、米中央軍、米空軍地球規模攻撃軍団(AFGSC)、米航空戦闘軍団(ACC)、米陸軍輸送コマンド(ARTRANS)からの差し迫った要請に応えたものだ。
軍・法執行機関で高まる対ドローン需要
合同省庁間タスクフォース401がオンライン市場に力を入れる方向に軸足を向けた背景には、複雑化した業務慣行を改革し、技術を現場に投入するプロセスを迅速化することを視野に、米軍内で進行している抜本的な近代化イニシアチブが反映されている。ここでいう「現場」は軍事拠点や戦闘地域に限らず、全米の文民法執行機関や緊急対応部隊も対象となる。
このマーケットプレイスを通じて提供される製品・サービスは今後、一般市民の保護や重要施設へのドローン侵入を防御する能力の強化をめざす米軍全部隊や連邦法執行機関からの需要の高まりに応えて、飛躍的に拡大するとみられる。



