アジア

2026.04.23 16:15

韓国で「世界最高の給食」が止まる日は来るのか。学校給食ストが映す構造的矛盾とは?

ステンレス製の食事トレイと調味料を使った韓国料理の食事サービス、AI生成(YuliiaMazurkevych - stock.adobe.com)

しわ寄せは児童や生徒や保護者に

この問題をさらに複雑にしているのが、責任の所在が曖昧な構造にある。

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交渉の相手方は教育部と17の市や道の教育庁に分散しており、交渉が長期化、複雑化しやすい。ストが起きるたびに給食は止まり、最終的なしわ寄せは児童や生徒や保護者に向かう。

「なぜ子どもの給食が交渉の人質にされるのか」という批判は根強く、「給食を外注すべきだ」「保護者がボランティアで対応する」という声も上がっている。

しかし、制度がそれを阻んでいる。2006年、民間委託校で集団食中毒事故が発生したことを受け、法律で学校給食の直営が義務付けられた。さらに労働組合法の規定により、ストライキ中に外部人材を投入すればスト妨害とみなされる。

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一部からは、鉄道や水道や電力と同様に、学校を「必須公益事業場」に指定して、スト参加者の50パーセント以内に限り代替人材を確保できるようにすべきとの声もあるが、実現には至っていない。

韓国では、現在小・中・高のほとんどの学校で全員無料給食を実施している。「無料で栄養バランスのとれた温かい給食」という政策目標は高く掲げられてきた。しかし、その水準を支えるための人員配置や設備投資は、明らかに後回しにされている。

政策の理想と現場への投資の間に横たわる巨大なミスマッチ。「非正規、低賃金、危険」という構造的な低評価と、世界最高水準の給食への社会的期待。そして成熟していない交渉メカニズムと分散した責任体制——これら3つが重なり合った結果が、子どもたちの食卓を毎年のように揺さぶるストライキとして現出している。

15年前の全員無料給食の導入時、こうした事態を予測できた人間は少なからずいたはずだ。それでも制度設計が追いつかなかったという事実は、韓国社会にとって重い問いを突きつけている。

高い理想を掲げるとき、その「裏方」を支えるコストを誰がどう負担するのか——この問いは、韓国だけの話ではないはずだ。

個人的見解としては、給食問題は遠からずAIロボットに代替されて解決してしまうような気もする。しかし、そうなったらなったで、いま、まさにAIロボット導入の現代自動車グループがそのような状態になっているように、それをさせまいとデモが起こることも想像に難くない。

文=アン・ヨンヒ

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