非営利組織とガバナンスの異例
元来の非営利主体であるOpenAI Foundationは、PBCの25.80%を取得原価ゼロで保有しており、推計2198億ドル(約35兆円)の価値に対してリターン倍率は無限大となる。さらに重要なのは、経済的持分では少数であるにもかかわらず、財団が取締役の指名を100%支配している点だ。ミッションに基づくガバナンスが経済的利害から切り離されているこの構造は、OpenAIの営利企業化への転換における中心的な関係であり、4月27日に公判開始予定のイーロン・マスクによる継続中の詐欺訴訟でも精査されている。カリフォルニア州とデラウェア州の司法長官は、条件付きでこの再編を進めることを認めた。
VCが注視している点
ベンチャー投資家にとってこの表は、2つのことを同時に確認させる。すなわち、初期段階のAIに対する確信に基づく投資で得られる並外れた成果と、リターンが少数の巨大な後期の資本配分者に構造的に集中しているという現実だ。
コースラ、サウンド・ベンチャーズ、アンドリーセン・ホロウィッツは倍率こそ高いが、絶対額のポジションは小さい。一方、マイクロソフト、ソフトバンク、そしてアマゾンの150億ドル(約2兆3900億円)のシリーズC優先株が設計どおりに転換されるなら、規模で参入したソブリンファンドおよび機関投資家の資本が、ドル建てリターンの大半を獲得することになる。
エヌビディアのポジションには注記が必要だ。同社は3.47%の持分を保有し、その価値は推計296億ドル(約4兆7100億円)だが、取得原価は301億ドル(約4兆7900億円)で、倍率は1.0倍、再構成された表ではわずかに含み損となっている。注記によれば、投資の相当部分が現金ではなくGPUの計算資源クレジットによる現物拠出であり、直接的なリターン計算を難しくしている。
2026年または2027年に予想されるIPOは、潜在的に1兆ドル(約159兆2000億円)の評価額で、これらの含み益の大半を実現益へと転換する流動性イベントとなる。それまでは、再構成されたキャップテーブルが、史上最も資本力のあるAI企業が上場する際に誰が勝者となるのかを示す、最も明確な公開シグナルである。


