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2026.04.30 12:00

OpenAI上場の鍵を握るのは財務トップ、アルトマンCEOではない

OpenAI 最高財務責任者(CFO)のサラ・フライヤー。Photo by Brian Lawless - Pool/Getty Images

OpenAI 最高財務責任者(CFO)のサラ・フライヤー。Photo by Brian Lawless - Pool/Getty Images

OpenAIのIPO(新規株式公開)の可能性をめぐる憶測が高まり続けている。同社は、市場がその価値をどう評価すべきか見極める前に、テック業界の景色を一変させた企業だ。報道各社はこのところ、同社の上場が「するかどうか」ではなく「いつするか」の問題だと報じている。しかし一方で、どれほどのスピードでそれを進めるべきかをめぐり経営陣の足並みが揃っていないとのうわさも渦巻いている。The Informationは米国時間4月5日、サム・アルトマンが、最高財務責任者(CFO)のサラ・フライヤー(53)が適切だと考える時期よりも早く上場を望んでいると報じた。

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フライヤーにとって、これは初めての経験ではない。2015年、彼女はウォール街のアナリストたちと向き合い、当時まだ多くの人が知らなかったCEOジャック・ドーシー率いるフィンテック企業Squareについて、質問に答えていた。フライヤーは数字を完璧に把握していた。投資家にどう語るべきかを熟知し、その年の11月にSquareがニューヨーク証券取引所でオープニングベルを鳴らしたとき、それはフライヤーがダウンラウンドという厳しいIPO条件を乗り越え、それでも市場で力強いスタートを切らせたことによるところが大きかった。

上場経験を持つ財務トップの経歴が、OpenAIの今に活きる

そして今、彼女は再びIPOロードショーに臨もうとしている。今回の相手はOpenAI──テック史上でも最も重大な存在の1つと見なされる企業であり、賭け金は桁違いに大きい。アルトマンにとって何が適切かと、フライヤーが株主にとって適切だと考えることの時間軸は、かなり不透明に見える。

北アイルランド出身であるフライヤーは、2024年6月にOpenAI初のCFOに就任した。前職は近隣コミュニティ型SNSのNextdoorでCEOを務め、2021年に同社を上場に導いた人物である。経歴にはSalesforceで財務・戦略担当SVP(上級副社長)を務めた時期もあり、マーク・ベニオフが個人的なメンターだったと彼女は明かしている。さらに、ゴールドマン・サックスでの10年間、ロンドンと南アフリカでのマッキンゼー時代なども含まれる。

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オックスフォード大学で冶金学、経済学、マネジメントの修士号を取得し、スタンフォード大学ではArjay Miller ScholarとしてMBAを修了。起業への貢献により、エリザベス2世からOBE(大英帝国勲章)も授与されている。

急成長の裏で強まる財務負担への警戒

今年初め、フライヤーは2026年を「現場での本格活用」の年と位置づけるメッセージを公に発信した。つまり、実際のビジネス成果への移行である。彼女がこの見通しを裏付けるために示した数字は驚異的だった。OpenAIの売上高は2023年の20億ドル(約3200億円。1ドル=160円換算)から2025年には200億ドル(約3.2兆円)超へと跳ね上がり、コンピュート能力も約10倍に増加した。彼女はこう説明した。「導入が売上を生み、売上が次のイノベーションの段階を推進する」。3月下旬、同社の評価額は驚異の8520億ドル(約136.3兆円)に達した。通常であれば、それだけで十分にIPOの物語として成立する。

しかし内部関係者によれば、フライヤーは非公式の場ではより慎重な姿勢を見せているという。報道によると、彼女は同僚たちに、主に設備投資の増大を理由に、OpenAIは2026年に上場する準備ができていないと伝えたとされる。同社は5年間で6000億ドル(約96兆円)超をインフラに投じることを約束しており、プラスのキャッシュフローに達するまでに2000億ドル(約32兆円)超を消費する見込みだ。

また、1220億ドル(約19.5兆円)の資金調達ラウンドはAmazonやNVIDIAといった主要サプライヤー兼投資家に大きく依存しており、循環的な相互依存に基づくバブルと見なされる状況を生んでいる。テック業界のリーダーや経済学者たちが議論に苦慮する課題だ。フライヤーにとっては、S-1(上場申請書類)のインクが乾く前にアナリストたちが真っ先に精査するであろう、まさにそのような問題なのである。

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