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2026.04.20 17:00

4兆円の物件所有、90歳のZara創業者を「世界最大の不動産王」にした節税戦略

Zaraの共同創業者であるアマンシオ・オルテガ(Photo by fotopress/Getty Images)

Zaraの共同創業者であるアマンシオ・オルテガ(Photo by fotopress/Getty Images)

スペインのアパレル大手Zara(ザラ)の共同創業者であるアマンシオ・オルテガ(90)は、カリフォルニアから韓国まで世界各地で、オフィスタワーから風力発電施設まで幅広い資産を静かに買い集め、世界最大級の不動産帝国を築いてきた。しかも、その投資は巨額の節税メリットももたらしている。

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2025年も大型取引を重ね、世界最大の不動産王に

2025年11月、スペインのアパレル業界のビリオネアであるオルテガは、バンクーバーにある歴史的建造物「カナダ・ポスト・ビル」を現金約8億5000万ドル(約1343億円。1ドル=158円換算)で取得した。この建物は街区を丸ごと占める大規模なテック拠点で、アマゾンが賃借するオフィススペースは100万平方フィート超に及ぶ。この取引は、カナダのオフィス売買として史上最高額となった。

この買収は、秘密主義で知られるザラ創業者にとって2025年の13件目の不動産取得でもあった。純資産が1410億ドル(約22.3兆円)のオルテガは2025年、8カ国10都市で総額30億ドル(約4740億円)超を投じ、オフィスビル7棟、ホテル2軒、物流施設2件、高級商業施設1件、マンションタワー1棟を取得した。英国の大手港湾運営会社の株式49%も買い取った。

世界の超富裕層の間では、不動産に何十億ドル(数千億円)もの資金を投じる動きが強まっている。オラクル共同創業者のラリー・エリソンは、ハワイのラナイ島やカリフォルニアとフロリダのホテル、パームビーチの邸宅などを含め、約30億ドル(約4740億円)規模の不動産を保有している。一方、ヘッジファンド界の大物ケン・グリフィンも近年、フロリダ、フランス、ロンドン、ニューヨークの豪邸に約20億ドル(約3160億円)を投じてきた。

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それでも、オルテガほど多額の資金を不動産につぎ込んできた人物はほかにいない。彼は、世界最大のアパレル小売企業インディテックスを2001年にマドリード証券取引所へ上場させて以降、約100市場で216件の不動産に総額約240億ドル(約3.8兆円)を投じてきた。しかも、そのうち手放したのは10件のみだ。オルテガが不動産に投じた金額は、アマゾン創業者ジェフ・ベゾスが宇宙開発会社ブルーオリジンにつぎ込んだとされる推定200億ドル(約3.2兆円)を上回る。

フォーブスは、オルテガの不動産帝国の全体像を把握するため、9カ国の企業登記資料や土地登記記録、プレスリリースに加え、不動産データベースのRegridとReal Capital Analyticsのデータを精査した。その結果、彼の不動産群の推定価値は総額250億ドル(約4兆円)にのぼり、13カ国にまたがる200件超の物件で構成されていることが分かった。これにより、オルテガは世界最大の不動産王となっている。保有資産の価値は、オーストラリアの不動産開発王ハリー・トリガボフの232億ドル(約3.7兆円)や、米国のドナルド・ブレンの192億ドル(約3兆円)を上回る。

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翻訳=上田裕資

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