経済

2026.04.19 17:00

なぜS&P 500だけに投資してはいけないのか──知っておきたいリスクと分散投資のメリット

Mojahid Mottakin - stock.adobe.com

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S&P 500は最も広く認知されている株価指数の1つで、多くの人がこれを「市場」と呼ぶ。実際、私が出会う投資家の多く(自分の祖父も含む)は、S&P 500に投資するだけが金融目標に到達する最善の方法だと信じている。本稿では、S&P 500が優れているという神話の起源、同指数のみに投資することに伴うリスク要因、そして分散投資のメリットを検証する。

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神話の起源

ウォーレン・バフェットは卓越した投資家として広く知られており、バークシャー・ハサウェイでの在任期間である1965年から2024年にかけて、S&P 500の年率10.4%に対し、ほぼ年率20%を生み出した。バフェットは自社宛ての2013年の書簡で、キャリアを通じて大きな成功を収めた個別株選択と比べれば、S&P 500指数に連動する資産を90%、短期の国債を10%とするポートフォリオが、ほとんどの投資家のニーズに合致すると説明した。

多くの人々はこれを、個別株選択より良いという意味ではなく、S&P 500が投資手段として優れているという意味だと解釈してしまった。私も、個別株を選ぶよりも広く分散するほうが良いという彼の見立てには同意する。しかし、S&P 500だけに投資すると、リターンを押し上げる機会を逃す可能性がある。

リスク要因

投資家からは、S&P 500を資金の置き場として低リスクだと見なしているともよく聞く。だが現実には、ポートフォリオの90〜100%をS&P 500に投じることは、いくつもの重大なリスク要因にさらされるため、積極的な戦略とみなされる。

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集中リスク

S&P 500は米国の上場株のうち最大級の銘柄で構成される。しかし指数は500社に均等配分されているわけではない。実際、時価総額上位10社への集中は上昇している。2025年時点で、その集中割合は40%にまで高まった。

一方、ラッセル2000(米国の大手3000社のうち小型2000社)やMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(世界の大型・中型2500社)は、この種の集中リスクを示さない。

バリュエーションリスク

ノーベル賞受賞の学者ロバート・シラーは、S&P 500向けの最良のバリュエーション指標の1つを作成した人物として知られる。彼が考案したのが景気循環調整後PER(CAPE)で、企業の現在価格を、過去10年間のインフレ調整後利益の平均と比較する。

この指標では、数値が高いほど割高で下落リスクがあるとみなされ、数値が低いほど割安で大きな上昇の機会となり得るとみなされる。

米国史上で最も割高だったのは、インターネット・バブルが頂点に達した1999年12月である。その後の10年間は、経済学者が「失われた10年」と呼ぶ局面となり、S&P 500は2000年1月から2009年12月までトータルリターンがマイナスだった。当時のCAPEレシオは44.19だった。

2026年3月時点で、S&P 500のCAPEレシオは36.53で、平均の17.35を19.18上回っている。

地政学リスク

S&P 500のリターンには、短期的な影響をもたらす地政学リスクがしばしば伴う。現在起きている事象として、以下が挙げられる。

・中東の紛争が原油価格の急騰を招いている

・運営コスト上昇により企業にインフレ圧力がかかっている

・通常のサプライチェーンが混乱している

・ロシアとウクライナの紛争がエネルギー・商品市場の不安定化を生んでいる

金利・インフレリスク

米連邦準備制度理事会(FRB)は、金利とインフレ目標に対して大きな影響力を持つ。FRBの政策が急激に転換すると、株式・債券市場に大きな変動をもたらす可能性がある。直近では2022年にそれが見られ、S&P 500は19%超下落し、モーニングスター米国コア債券指数は12.9%下落した。

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