10年前、シリコンバレーで働く人々の間でミニマリスト・スタイルの靴として一世を風靡した、オールバーズ(Allbirds)。そのかつての人気靴メーカーが突如、自社ブランドとフットウェア関連の資産を売却し、「AI向け計算インフラおよびクラウドサービス企業」へと転換することを発表した。新たな社名は「ニューバードAI」となる。この発表を受け、低迷を続けていた同社の株価は一時800%を超える急騰を見せた。
米国時間4月15日に発表されたプレスリリースによれば、経営難にあえぐ同社は匿名の機関投資家から5000万ドル(約80億円。1ドル=159円換算)を調達し、「AI向け計算インフラ」企業へと生まれ変わるという。この取引は2026年第2四半期に完了する見通しだ。
この劇的な事業転換の一環として、同社は3月にフットウェア事業のすべてをブランド管理会社のアメリカン・エクスチェンジ・グループ(AEG)に3900万ドル(約62億円)で売却している。
オールバーズによれば、「靴ブランドとその関連遺産は、AEGの所有下で継続される」という。AEGのポートフォリオには、エアロソールズやエド・ハーディーといった著名なファッションブランドが並ぶ。
今回の発表によってオールバーズの株価は跳ね上がり、15日の取引開始直後には800%以上の上昇を記録した。米東部時間午前11時45分の時点でも、株価は依然として700%以上高い約20ドル前後で取引されている。
オールバーズの時価総額は、2021年11月の華々しい新規株式公開(IPO)直後には40億ドル(約6360億円)を上回っていた。この際、同社は3億ドル(約477億円)を超える資金を調達している。しかしIPOから数カ月のうちに株価は急落し、今回の事業転換が発表される直前には2.49ドルまで落ち込んでいた。
本業を離れ、テック業界の最新トレンドに飛びついたのはオールバーズが初めてではない。2017年にはロングアイランド・アイスティー・カンパニーがブロックチェーン企業への事業転換を発表している。この時も発表直後に株価は急騰したが、その事業転換が長期的な成功をもたらすことはなかった。同社は2021年に証券取引委員会(SEC)によって上場廃止となっており、SECはその命令書の中で、同社の新たな「ブロックチェーン事業が実際に運用されることは1度もなかった」と述べている。



