この派遣目的は中南米の麻薬組織を標的とした「サザンスピア(南方のやり)作戦」の支援で、ベネズエラを出入りする石油タンカーの封鎖も作戦の一環だった。その後、米軍が「アブソリュート・リゾルブ(断固たる決意)作戦」でベネズエラを攻撃し、首都カラカスの邸宅に潜伏していたニコラス・マドゥロ大統領と妻シリア・フロレスを拘束した際も、ジェラルド・R・フォードはベネズエラ近海に展開していた。
母港ノーフォーク海軍基地への帰還は2026年初頭の予定だったが、2月にジェラルド・R・フォードは地中海へ再び派遣され、現在も対イラン「エピック・フューリー(壮絶な怒り)作戦」に不可欠な一翼を担っている。
ジェラルド・R・フォードの展開期間延長は、米海軍が複数の危機に同時に対処するのに必要な空母を十分に保有していない事実を改めて浮き彫りにした。
グレムリンの仕業? トイレの詰まり、火災、システム不具合
まもなく300日間に及ばんとする航海は、順風満帆とは程遠いものだった。3月中旬には艦内の洗濯区画で火災が発生し、鎮火に30時間近くを要した。煙による被害で約600人の乗組員が寝台を使用できなくなり、母港ノーフォーク基地で就役前の海上公試運転と最終艤装を進めていた新造空母「USSジョン・F・ケネディ(CVN-79)」からマットレスを空輸する羽目になった。
艦体も修理のため、まずギリシャのクレタ島に寄港し、その後クロアチアのスプリト港に戻ることを余儀なくされた。
ジェラルド・R・フォードは今月に入り再び海上へと戻ったが、火災はあくまで直近のトラブルにすぎない。同艦は以前からトイレが詰まって使用不能となる問題に悩まされており、現在も共用トイレの半数が使いものにならない状態が続いている。
米CNNも、この超大型空母では他にも「グレムリンの仕業」とでも言いたくなるような不具合が相次いでいると報じている。「部品が摩耗し、海上で応急処置を行っている」「着艦する機体を受け止める制動装置のケーブルがほつれ始めた」「海水が艦内システムに浸入している」などで、こうした不具合の積み重ねが日々の運用に悪影響を及ぼしている。


