経済

2026.04.23 15:15

『ハゲタカ』の人気作家は説く━━AIの嘘はアガサ・クリスティーで迎撃せよ!

Adobe Stock

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「ハゲタカ」シリーズで有名な小説家の真山仁氏は4月20日、2017年に発表した作品『オペレーションZ』内で架空の小説として登場させた『デフォルトピア』(財政破綻した近未来の日本を鮮烈に予測活写したストーリー)を大幅加筆、クラウドファンディングによる出版にチャレンジすることを発表した(日本の“破綻”を読者と共に描くー真山仁『デフォルトピア』共同制作プロジェクト - CAMPFIRE (キャンプファイヤー))。

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わが国の、実に「約1200兆円超」にのぼる累積債務問題については、主に「財政規律派」と「自国通貨建ての国債は破綻しない」とする派に分かれて侃侃諤諤の議論がなされてきた。この国民的テーマに小説という技法で肉迫を試み、より多くの未来読者の意志を反映し得る「クラファン」という資金調達方法で世にムーブメントを起こそうとする真山氏のチャレンジに注目したい。

まず本稿では、氏の著書『疑う力』(2024年、文春新書)から一部を転載して紹介する。累積債務問題についても、アンコンシャス・バイアスや一連のフェイク情報がわれわれの「疑う」力をかすめとり、公正な未来予測や判断に負の影響を及ぼす可能性があるといえないだろうか。であればわれわれはどう抗い、「疑え」ばよいのか。

本書の中で氏は、ミステリーの女王アガサ・クリスティーを懐刀にフェイク情報と対峙し、疑えと諭す。ミステリーの要素も含む経済小説で真骨頂を極めたベストセラー作家が提唱する意外なスキーム、そしてその真意とは。

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(『疑う力』は、2023年4月〜9月、慶應MCC(丸の内シティキャンパス)のagoraにて「真山仁さんに聞く【”正しい”の疑い方】と題して開催された講座を基に再構成されたものである)


99%の真実に1%の嘘を混ぜる

嘘をつく時は、99%は真実を言った方が、人を騙すことができます。

たとえば、「昨日どうしていたの?」と聞かれて「日比谷で映画を見て、その後日比谷公園を散歩したよ。夕飯は銀座でイタリアンを食べた」と全て真実を話し、「誰と行ったのか」だけ嘘をつく。そうすると、百回聞かれても、間違えずに同じように答えられます。

嘘をつくのが下手な人は、全部を作り話にしてしまうので、どこかでボロが出る。「あれ、さっきと話が違うけど」と突っ込まれてしまいます。

警察が容疑者を取り調べる際に何度も繰り返し同じ話をさせるのは、繰り返す中で嘘がバレることを知っているからです。

だから、本当に徹底的に騙し通したいときには、大事な一カ所だけで嘘をつくのが正解です。こんなことを教えるのもどうかと思いますが(笑)。

クリスティーは、「あなたはきっとこの人を疑うでしょうね」と、読者の思考を想定しながら話を進めていきます。

読者は「もしかして、私、作家の意図がわかったかもしれない」などと、ほくそ笑む。

その時点で、完全に罠にはまっている。

そして、嘘のオンパレードが続きます。

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