「日本ならではの特別な体験」を共創するパートナーを模索する中で、グーグルのプロジェクトチームは、ヘラルボニーと契約する作家たちの作品が放つ「熱量」に強く惹かれたという。個人が持つ多様な可能性を広げるという、両社に共通するビジョンが初めての共創を後押しした。
ヘラルボニーは、障害のある作家の作品を「支援」や「慈善」の文脈ではなく、正当な対価が生まれる「ビジネス」として展開しながら、社会の側に存在する障壁を崩すことを事業の指針に掲げている。グーグルが進める「テクノロジーの民主化」と、ヘラルボニーの「多様性を肯定する」姿勢が交差して、日本限定モデルの開発という前例のないプロジェクトが動き出した。
ユーザーに身近なスマートフォンを再定義する
日本限定モデル「Isai Blue」のPixel 10aは、「誰にとってもアクセスしやすいスマートフォン」の定義についても新たな視座を提示している。
松田氏は、グーグルのデザイン担当副社長であるアイビー・ロス氏との対話を通じて、グーグルの「エモーションデザイン」という考え方に大きな影響を受けたと語っている。そして、そのコンセプトを意識しながら、「Isai Blue」を「誰にとってもアクセスしやすいスマートフォン」にするために力を注いできた。
「私は、テクノロジーが人のウェルビーイングと結びつくことが、これからの価値観として重要になると考えています。今回のコラボレーションに参加していただいた作家各氏の作品には、各々が自身の内側から湧き上がる衝動のままに、楽しみながら創作に向き合った瞬間の熱量が宿っています」
例えば「Isai Blue」に収録される壁紙のひとつをデザインした水上詩楽氏の作品は、様々な色でいくつも描かれた扇形と細かな点の模様が美しい独特のハーモニーを織り成している。ドットパターンは一見するとランダムに配置されているように見えるが、実は規則正しく、同じ動作をゆっくりと繰り返しながら描かれているという。


