北米

2026.04.14 10:30

米旅行業界の「トランプ不況」続く 車で米国を訪れるカナダ人、2年間で35%減

米国とカナダを結ぶブルーウォーターブリッジ(Getty Images)

米国とカナダを結ぶブルーウォーターブリッジ(Getty Images)

米国のドナルド・トランプ大統領が2025年初頭に政権に返り咲いて以降、同国を訪問するカナダ人の数が大幅に減少している。これは米経済に甚大かつ持続的な打撃を与えており、今年に入っても回復の兆しは見られない。

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カナダ統計局が13日に公表したデータによると、米国への移動方法として最も一般的な車で3月に渡米したカナダ人の数は前年同月比で5%減少し、トランプ政権発足前の2024年3月との比較では35%減少した。3月のカナダから米国への航空旅客数も前年同月比で14%減少した。一方、3月にカナダを訪れた米国人の数は前年同月比で4%増加した。

航空機で海外へ旅行するカナダ人の数は、車で米国へ渡る人の数を3カ月連続で上回り、長年にわたる傾向が逆転している。海外渡航をするカナダ人の数は前年同月比5%増加した。これは、カナダ人が米国から他の国へと行き先を変えつつあることを示している。

カナダの市場調査会社ロングウッズ・インターナショナルが同国の旅行者を対象に実施した調査によると、カナダ人旅行者の4分の1近くに当たる23%が、予定していた米国への旅行を中止した。同社のアミール・エイロン最高経営責任者(CEO)はフォーブスの取材に対し、「旅行業界で37年間働いてきたが、カナダ人が行っているようなことはこれまで見たことがない」と語った。

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米国家観光局(NTTO)によると、トランプ大統領が2期目の再選を果たすまでの数年間、米国を訪れる外国人観光客のうち、カナダ人は約4分の1と最大の割合を占めていた。カナダ人観光客は2024年、米経済に205億ドル(約3兆2700億円)をもたらした。

ところが、トランプ政権が発足すると状況は一転し、米旅行産業協会(USTA)は、カナダから米国を訪れる旅行者が1割減少しただけでも、観光業界は21億ドル(約3300億円)の収入減と14万人の雇用喪失に見舞われる恐れがあると警告した。だが、実際の減少率は22%に上り、同協会が想定していた数字の2倍以上となり、観光収入は約45億ドル(約7200億円)減少している。カナダ人による渡米のボイコットは今年に入っても続いており、1月と2月はいずれも2桁の減少を記録した。

NTTOによると、第1次トランプ政権時代の2017年には最初の7カ月間で米国を訪れる外国人旅行者数が4%減少した。旅行業界はこの落ち込みを「トランプ不況」と名付け、同大統領の「米国第一」主義を掲げた反移民政策や、一部の国に対するビザ(査証)発給の厳格化に原因があると指摘した。だが、現在のトランプ不況は第1次政権時代より大きな経済的打撃をもたらしている。

世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)が世界184カ所の観光地を対象に実施した調査によると、2025年には世界中で観光業が成長した中、米国は外国人観光客の消費額が減少した唯一の国となった。米国では2025年、主にトランプ大統領の関税措置や米国第一主義、反移民政策の影響により、海外からの観光客数が前年比6.3%減少した。

世界的な反米感情は、米国、カナダ、メキシコの共催で6月に開幕するサッカーワールドカップ(W杯)の海外からの観客数に悪影響を及ぼすのだろうか? 国際サッカー連盟(FIFA)は2025年、数百万人の海外からの観客が米国に305億ドル(約4兆8600億円)の経済効果をもたらすと予測していた。米観光当局は当初、W杯が海外からの観光客数の減少傾向を食い止めるきっかけになると楽観視していたが、同大会の開催都市であるニューヨーク、フィラデルフィア、サンフランシスコのホテル協会の代表者らはフォーブスに対し、現時点では同大会による海外からの需要の急増は見られないと語った。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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