一方、NYTは「閣僚の中で、ヘグセス氏はイランに対する軍事作戦を最も強く主張していた人物だった」と指摘した。トランプ氏自身、イラン攻撃についてヘグセス氏が「最初に声を上げた」と語っている。自衛隊元幹部は「ヘグセス氏はトランプ氏の腰巾着。トランプ氏の言うことに無条件で従っているだけだ」と語る。
ヘグセス氏は過去、トランプ氏の主張に歩調を合わせ、「DEI(多様性、公平性、包括性)」を否定。女性初の海軍作戦部長・フランチェッティ氏や同じく女性のフェーガン沿岸警備隊司令官に加え、ブラウン統合参謀本部議長やオールビン空軍参謀総長ら最高幹部が次々と米軍を去った。昨年9月、バージニア州の海兵隊基地に数百人の将軍や提督を集め、「戦士の精神」を強調。「太った将軍や提督を目にすることは容認できない」と語り、身だしなみや規律の強化を訴えた。
そして、イランに攻撃を加えているさなか、任期を1年以上残すジョージ陸軍参謀総長に退任を迫った。ヘグセス氏は過去、米陸軍の人事には比較的介入してこなかった。陸軍長官のドリスコル氏が、イエール大学法科大学院で同級生だったバンス氏という強力な後ろ盾を持っていたためだ。ドリスコル氏は昨秋、ウクライナ和平の交渉役にも指名されるなど、ヘグセス氏に代わる「次の国防長官」との評価が高まっていた。
バンス氏は現在、イラン攻撃に慎重な姿勢を示している。イスラマバードでのイランとの停戦協議も合意に導けなかった。トランプ氏は演説で「我々は重要な交渉を進めている。うまくいかなければバンスのせい、うまくいけばすべて私の功績だ」と冗談を飛ばしていたが、バンス氏の政治的立場が強化されたとは言えないだろう。ヘグセス氏の米陸軍人事への介入も、自分を脅かすドリスコル氏の追い落としを狙ったものかもしれない。
昨年9月の海兵隊基地での集会で、民主党を批判するトランプ氏やヘグセス氏の演説を、集められた米軍将官たちは表情を変えることなく聴いていた。米政府元当局者は「軍人は政治的中立性を求められる。政治的発言に反応できるわけがない」と語る。自衛隊元幹部は、現在のヘグセス氏に対する米軍将官たちの対応について「言い過ぎかもしれないが、面従腹背といったところだろう」と語る。
CFRが次に「ワースト10」を選んだら、米軍をずたずたにしたという意味で、今年のイラン攻撃がおそらくランクインすることになるだろう。


