経済

2026.04.14 08:00

ホルムズ海峡封鎖は「経済テロ」 肥料、金属、プラスチックにも影響広がる

米国とイランの間で結ばれた2週間の停戦合意を受け、ホルムズ海峡に向かって進む船舶。2026年4月8日撮影(Shady Alassar/Anadolu via Getty Images)

米国とイランの間で結ばれた2週間の停戦合意を受け、ホルムズ海峡に向かって進む船舶。2026年4月8日撮影(Shady Alassar/Anadolu via Getty Images)

ホルムズ海峡を巡る対立が長期化する中、世界の関心のほとんどは最も目に見える影響、すなわちペルシャ湾からの石油・ガス供給の途絶に注がれている。それだけでも、原油価格は1バレル100ドル台に急騰し、アジアでのエネルギー不足、欧米でのガソリン価格高騰、そして世界的なインフレに対する懸念が再燃するのに十分だった。英金融大手バークレイズは、ホルムズ海峡の封鎖が長引けば、市場から日量1300万~1400万バレルの石油供給が失われる可能性があると警告した。

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だが、石油とガスはあくまで序章に過ぎない。ペルシャ湾岸のアラブ諸国は、現代社会の基盤を支える産業用原材料の供給源でもある。具体的には、肥料やその主な原料である硫黄のほか、アルミニウム、石油化学製品、ヘリウムなどが挙げられる。

湾岸諸国は過去20年間にわたり、石油輸出から得た富を活用して下流産業への進出を図り、肥料工場や金属製錬所、石油化学工場、産業用ガスの生産施設を構築してきた。こうした多角化により、湾岸諸国の経済は強固になった。同時に、世界は湾岸地域への依存度を高めることになった。

影響が最も深刻なのは肥料

最も強く警鐘が鳴らされているのは、肥料の分野だ。湾岸諸国はアンモニアや尿素の主要な輸出国で、世界で取引される肥料の約3割がホルムズ海峡を経由している。

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米投資企業フリーダムホールディングスのアナリスト、ビタリー・コノノフとワジム・メルクロフは報告書の中で、「肥料価格の急騰が、ホルムズ海峡封鎖の影響を受けるあらゆる商品の中でも最も深刻な結果をもたらす可能性があり、北半球の作付け期が直接的なリスクにさらされている」と警告した。その上で、世界中で取引される肥料の約3分の1がホルムズ海峡を通過しており、その中には世界のアンモニアの23%、尿素の34%、リン酸塩の20%近くが含まれると指摘した。尿素は、小麦や葉物野菜の生産を支えるために広く使用されている窒素を豊富に含む肥料だ。

英ロイター通信によると、中東産の尿素の輸出価格は1トン当たり500ドル(約8万円)弱から700ドル(約11万円)超へと約40%急騰した。米銀大手バンク・オブ・アメリカ(BofA)は、一部の肥料価格が既に30~40%上昇していると推計している。ロイター通信は、供給の混乱が長期化した場合、窒素肥料の価格が2倍になる可能性があると伝えた。

尿素とリン酸肥料の約4割を中東から輸入しているインドは、追加の供給を確保しようと急いでいるが、その一部は作付けの時期に間に合わない恐れがある。バングラデシュは国内の5つの肥料工場のうち4つを閉鎖した。輸入肥料への依存度が高いブラジルも、ホルムズ海峡経由で一部を調達している。

硫黄は、肥料や金属加工の重要な原料であり、サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコやアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国営石油会社(ADNOC)などが輸出している。ロイター通信によると、硫黄需要の75%を中東に依存しているインドネシアのニッケルメーカー各社が、生産削減の可能性について警告を発している。フィリピンでも同様の懸念が報じられている。

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翻訳・編集=安藤清香

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